家系ラーメンの「町田商店」が超えた「多店舗展開10億円の壁」 カギはシステムパワー経営にあり:飲食店を科学する(2/5 ページ)
家系ラーメンの町田商店が急成長している。直営店が117店舗、プロデュース店が396店舗。「多店舗展開10億円の壁」をどう突破したのか。
「プロデュースモデル」で一気に店舗数を拡大
同社のビジネスモデルを分析する上で重要となるのが、その店舗形態です。
20年7月時点における町田商店の店舗形態の内訳を見ると、直営店が117店舗、プロデュース店が396店舗です。つまり、総店舗数の77%がプロデュース店となっています。
ラーメン店に限らず、飲食店が短期的に多店舗展開を実現するビジネスモデルの一つとして、フランチャイズモデルが挙げられます。一般的な「フランチャイズ」と町田商店が展開する「プロデュース」にはどんな違いがあるのでしょうか?
フランチャイズにもさまざまな形態がありますが、一般的なモデルでは、屋号はブランド名に統一します。また、加盟金として100万〜500万円、ロイヤルティーとして毎月売り上げの3〜5%をそれぞれ支払う契約となります。さらに、店舗運営やメニューに関してもフランチャイズ本部の規定を順守することが求められます。
一方で町田商店の店舗プロデュースシステムを見ていくと「屋号自由」「加盟金0円」「売り上げロイヤルティー0円」「店舗運営・メニュー開発自由」となっており、通常のフランチャイズシステムよりも圧倒的に加盟のハードルが低いことが分かります。
こうしたビジネスモデルが開業希望者のニーズとマッチし、一気に加盟店を拡大させることに成功しました。本部としては、ロイヤルティーや加盟金を徴収しない代わりに、食材等を加盟店に卸すことで販売収益を得るビジネスモデルとなっています。本部は500店舗を超える店舗の食材調達を一元化することで、メーカーなどからの調達コストを抑えられます。そのため、開業者側も1店舗では仕入れることのできない価格で、食材などを調達できます。
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