そこまでやるか!? 本気すぎる“タニタ式”健康経営 社員証と活動量計を一体化:「簡単」「楽しい」「続けたくなる」(1/4 ページ)
ヘルスメーターで有名なタニタは、自社の健康経営にも熱心。例えば、社員証と一体化した活動量計を全社員に持たせていて、身に付けないで出勤した社員は社屋に入れない。そこまで徹底するのはなぜか。
ヘルスメーターで有名なタニタは、自社の健康経営にも熱心だ。その内容を聞くと、誰しも「そこまでやるか」と驚くのではないか。例えば、社員証と一体化した活動量計を全社員に持たせていて、身に付けないで出勤した社員は社屋に入れない。入れたとしても、コピー機やプリンタが使えないという徹底ぶりだ。
そこまで徹底するのはなぜか。健康レシピ本「体脂肪計タニタの社員食堂」が、シリーズ累計で500万部を超えるヒットとなり、自らを「健康総合企業」と称するタニタの考え方を取材した。応じてくれたのは、タニタの取締役・CHO(健康管理最高責任者)およびタニタヘルスリンク取締役会長である丹羽隆史氏。
タニタが社員の健康を強く意識するようになったのは、2008年前後のことだ。健康意識が高いとはいえない社員が少なくない状況で、「メタボ体型でお腹がぽっこりと突き出した営業担当者が体重計や体組成計のセールスをしても説得力がない」(丹羽氏)と社内で問題視された。しかし当時は、予防医療や健康経営という考え方自体が一般的ではなく、タニタに限らず、多くの企業で社員の健康管理に積極的に関与する考え方が希薄だった。
そもそも、健康経営を実施するための方法論そのものが存在しないに等しい状態だった。現在では「健康経営」というキーワードは一般化し、経済産業省と東京証券取引所が共同で「健康経営銘柄」を選定する仕組みを作り、「健康経営優良法人認定制度」などの取り組みも始まった。しかしそれ以前は、福利厚生の一環として年に一度の健康診断と始業前のラジオ体操というのが定番であり、その在り方に疑問を抱く向きも少なかったのだ。
試行錯誤を繰り返しながら構築
そのような中、タニタは手探りで健康経営への取り組みを始めた。最初に試みたのは、社員に歩数計を持たせることだった。しかし「自分が普段、何歩歩いているのか、ということが分かると、携帯をやめてしまう社員が増え、日常的に計測して記録する行為をしなくなった」(丹羽氏)という。日々の運動量に大きな変化がなければ「記録」という面倒な行為をしなくなるわけだ。
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