コロナの中オンラインで資金調達 個人の投資がベンチャー支える(2/3 ページ)
コロナ禍はさまざまな産業に大きな影響を与えた。そんな中、ベンチャー企業の資金的な支えの1つとして期待されるのが、株式投資型クラウドファンディングを通じて、個人がエンジェルとして行うベンチャー企業への投資だ。
コロナ禍のなか、オンラインだけで資金調達
そんな中、ベンチャー企業の資金的な支えの1つとして期待されるのが、個人がエンジェルとして行うベンチャー企業への投資だ。
イークラウドは7月に、案件の第一号として「地元カンパニー」への投資プロジェクトを公開した。3000万円の資金調達目標に対して、311人が投資し、申込み金額は4990万円に達した。
このプロジェクトの話を始めたのは、コロナ禍真っ最中の5月だった。地元カンパニーは長野に本社を構え、全国の名産品を扱っている。顧客である法人の動きがコロナ禍で止まり、売り上げが急減した。「ブログなどでイークラウドについて発信していたのを、地元カンパニーの代表が見て連絡してきたことがきっかけで、ゴールデンウイーク中に面会した」(波多江氏)ことから、話が進み、2カ月後にはクラウドファンディングでの資金調達に至った。
クラウドファンディングでは、投資家はオンラインのみで投資を実行する。VCや銀行からの資金調達に比べ、1カ月以内に資金調達が完了するなどスピーディーなのも特徴だ。コロナ禍で事態が切迫する中、対面を必要とせずに資金が調達できる点が功を奏した。
地元カンパニーとクラウドファンディングがうまくマッチしたのは、いくつかの理由がある。設立からの年数と成長の角度だ。
国内のVC市場規模は年々拡大しているが、出資先となる企業は限られる。VCはファンドの満期が10年程度と決まっており、その間に急成長、例えば1000億円を超える企業価値を目指すことが求められる。「地元カンパニーは創業9年。VCから見ると少し年数が経ってしまっている」(波多江氏)かたちだ。
一方で、クラウドファンディングでは、「そこまでの成長角度が得られなくても、世の中に意義がある事業ならば、応援したい株主を集められる」(波多江氏)という特徴がある。
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