独自で強い仕事のために、「客観を超えて主観を持て」:偉大な事業家は(2/4 ページ)
「それって主観的な見方だよね。もっと客観的にながめないと」――。ビジネスシーンで、このようなフレーズをよく耳にする。主観よりも客観のほうが優れていることをにじませているわけだが、本当にそうなのか。
客観を超えていく偉大な事業家たち
さて、そこで「それって主観的な見方だよね。もっと客観的にながめないと」のフレーズがにじませる「客観が優で、主観が劣か」の問題です。
往々にして主観的な意見がダメ出しされるときは、もののとらえ方が表層的で偏っていたり、根拠のない決めつけであったりします。確かにそういうときは、客観に立つことが求められるでしょう。
しかし、ビジネスやキャリアにおいて、客観は最終的に目指すべき態度ではなく、むしろ客観を超えて意志的に主観を持つことが目指すべき態度であるとも言えます。そうでなければ、ほんとうに深く強い仕事はできませんし、心から納得のいく独自のキャリアは具現できません。
例えば、「事業」をどうとらえるか。
事業とは何かを考える場合、まず客観的に定義するなら辞書を引けばいいでしょう。『広辞苑〈第七版〉』にはこうあります───「事業とは、一定の目的と計画とに基づいて経営する経済的活動」。
客観的定義とは、いわば世の中の多くの人がとらえる最大公約数的な部分を抽出して表現することです。辞書の言葉はその典型です。この最大公約数の部分で物事の解釈を行なうことは間違いがないという点で安全ですが、別の角度から言えば没個性に陥ることでもあります。
また、「事業とは、一定の目的と計画とに基づいて経営する経済的活動」という辞書の定義を持ったとしても、どこからも事業への意志はわいてきません。客観的定義は、知・情・意のうちの知は満足させても、情・意に刺激を与えるものではありません。
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