2015年7月27日以前の記事
検索
連載

ビンテージイヤーに乗った特筆すべきクルマ(後編)池田直渡「週刊モータージャーナル」(4/6 ページ)

日本のクルマはとても良くなった。筆者が自動車雑誌の出版社に入ったのは1987年で、まだバブルの真っ最中。それから33年、長い月日をかけて、日本車は世界のクルマとトップを競えるようになった。後編で扱うクルマは、トヨタ・ハリアー、スバル・レヴォーグ、マツダMX-30の3台である。

Share
Tweet
LINE
Hatena
-

 さらにアイサイトXの素晴らしさにも触れておかないと、読者の期待に応えられないだろう。以前も書いたのだが、アイサイトXは現在最強のADASだと思う。圧倒的に違うのは準天頂衛星システムみちびきによる測位が行われている時で、高速道路においては現在考え得る限り最も自動運転に近い。


高速道路において最も自動運転に近いレヴォーグのアイサイトX

 日産のプロパイロット2.0と比較すると操舵(そうだ)の制御が上手い。プログラムの良さもあるのだろうが、フルインナーフレームによるボディと操舵系の剛性向上が非常に効いている。クルマのボディは入力に歪(ひず)む。それが線形に歪むのなら演算で補正もし易いのだろうが、結局のところ、金属は「ばね」なので、あるところまで抵抗し、そこで屈服して変形し、またその先で耐える。戻る時も同じで、入力に対する変形は一定ではないのだ。

 それをプログラムに織り込むのは大変で、結局一番の早道はボディの剛性を高めることだ。だからアイサイトXの制御の上手さは電子的な部分だけでなく、そこを可能な限り補正値を単純化している物理領域の改善、つまり剛性向上があってこそなのだ。ということで自動運転に向かうと、ボディの技術が極めて重要であるという大切なことをレヴォーグは実証してみせてくれた。

 燃費は厳しかった。トータルでリッター12キロあたり。そこはスバルの掲げるxEV計画のハイブリッドに期待をかけておく。あとは価格設定次第である。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る