2015年7月27日以前の記事
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電動化の主役は完成車メーカーではなくサプライヤーだ!加速するクルマの電動化(4/6 ページ)

菅政権による自動車の電動化規制に注目が集まっている。カーボンニュートラルによる電動化規制は世界中に広がっており、自動車業界を大きく揺るがすことになるだろう。そして、これまでの動きから見えてくるのが主役交代だ。今後は、完成車メーカーからサプライヤーへ、主役がシフトすると考えられる。

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サプライヤーの新しい連合は、新しい可能性を生むか

 エンジンやトランスミッションの基礎研究を産学官で行う、自動車用内燃機関技術研究組合(AICE)や自動車用動力伝達技術研究組合(TRAMI)のような共同体が、今後電動パワートレインやバッテリーの基礎研究分野でも立ち上げられる可能性は高い。デンソー、アイシンなどトヨタ系サプライヤー同士が手を組んで電動パワートレインの専門ブランドを立ち上げたり、自動運転の共同研究を行う合弁会社を設立するなど、このところ動きが活発だ。

 こうした動きも今後はますます加速して、系列を超えたアライアンスへと発展していく可能性がある。すでに19年10月にはイタリアの電装品サプライヤーであるマニエッティ・マレッリと、日産系列であった冷却系サプライヤーのカルソニックカンセイが合併しており、現在はマレッリのブランドに統一されている。これは株主であるファンドの意向も大きいのだろうが、自動車業界内で見ればかなり離れた業種同士の合併というケースだ。それだけにシナジー効果は計りしれない。

 こうしたサプライヤーの合併や提携、グループ化には、自動車メーカーのアライアンスとは違ったメリットや、シナジー効果が見込める。最終完成品であるクルマと違い、部品レベルでの提携は、デザインや機能で差別化する必要性が低く、製品のプラットフォーム化を進め開発を分担することで、品質とコストの両面を改善できる余地がある。エンジニアにとっても、1つの部品の開発に専念する時間が増えることにもなり得る。

 パワートレインの簡素化は、サプライヤーの提供する製品の完成度が高くなることにもつながる。エンジンやシャーシは自動車メーカーが開発、設計、生産しているが、ほとんどの場合トランスミッションやモーターはサプライヤーの開発領域だ。そうした開発力のあるサプライヤーの中には電動パワートレインを作り上げるだけでなく、マイクロEVを生産、販売する自動車メーカーに発展するところも出てくるだろう。


デンソーとアイシンが昨年立ち上げた電動パワートレイン専門ブランド「BluE Nexus」が発表した電動パワートレインの試作機。今年に入ってトヨタも出資し、電動パワートレインの販売体制を強化するなど、電動化への取り組みを加速させている

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