ニュース
電動化の主役は完成車メーカーではなくサプライヤーだ!:加速するクルマの電動化(5/6 ページ)
菅政権による自動車の電動化規制に注目が集まっている。カーボンニュートラルによる電動化規制は世界中に広がっており、自動車業界を大きく揺るがすことになるだろう。そして、これまでの動きから見えてくるのが主役交代だ。今後は、完成車メーカーからサプライヤーへ、主役がシフトすると考えられる。
これからの自動車業界は、サプライヤーの影響力がこれまで以上にさまざまな形で大きくなる。もちろん基本的には厳しい戦いを強いられることになるが、自動車メーカーと比べると小回りが利くだけに、いろいろな可能性を秘めており、大化けするブランドが出てくるのではないだろうか。
現状、欧州メーカーや日本メーカーが欧州市場でEVを販売するのは、CAFE規制をクリアするための手段に過ぎない。しかし純エンジン車の販売禁止以降はハイブリッド車の比率を増やすだけでは、より厳しくなるCAFE規制をクリアできる可能性は低い。EVをメインにし、シリーズハイブリッドの割合をかなり増加させる必然性が出てくる。
前述の通り北米市場を狙っているのは、日本や欧州の自動車メーカーだけではない。国内の需要だけでなく海外にも中国のEVメーカーが進出してくるのも時間の問題だ。中国の輸出経済は繊維業や家電などの世界の工場から、より高付加価値な商品の輸出へと脱皮を図っている。EVは、その旗艦製品となるもので、北米では日本や韓国メーカーにまったく歯が立たない状況となっているが、EVがクルマの主役となってくると、徐々に品質レベルの差は接近してくることになるだろう。
関連記事
- 果たして自動運転レベル3は、ドライバーにとって優しいのか?
人間不要の自動運転はレベル4、レベル5と呼ばれる。しかし、現状は機械とドライバーのハイブリッドであるレベル2とレベル3が射程に入ってきたところだ。しかし、このレベル3はさまざまな問題を抱えている。そのため、実用化についてもメーカーによって方針は大きく異る。 - 「技術の日産」の魂は、死んでいない アライアンスの行方は?
日産自動車経営陣の新体制が固まった。3頭体制への期待は高いが、その周囲の役員の間にはさまざまな思惑がうごめいているという情報もある。日本とフランスの国策企業というプライドが、足を引っ張りあっていくなら、良いクルマやサービスも生まれない。 - 新燃費規程 WLTCがドライバビリティを左右する
ここ最近よく聞かれるのが、「最近の新型車ってどうしてアイドルストップ機構が付いてないの?」という質問だ。全部が全部装備しなくなったわけではないが、一時のように当たり前に装備している状況でなくなったのは確かだ。それに対してはこう答えている。「燃費の基準になる測定方法が変わったから」。 - 自動車メーカーを震撼させる環境規制の激変
「最近のクルマは燃費ばかり気にしてつまらなくなった」と嘆いても仕方ない。自動車メーカーが燃費を気にするのは、売れる売れないという目先のカネ勘定ではなくて、燃費基準に達しないと罰金で制裁されるからだ。昨今の環境規制状況と、それが転換点にあることを解説する。各メーカーはそのための戦略を練ってきたが、ここにきて4つの番狂わせがあった。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.