2020年最も読まれた記事:池田直渡「週刊モータージャーナル」(6/6 ページ)
年内最終号は恒例の今年最も読まれた記事。ひとまずトップ5を並べてみよう。2位を除けば全部トヨタ絡みである。前代未聞のコロナ禍に見舞われた2020年は、自動車販売が壊滅的打撃を受けても全くおかしくない一年だったが、そうしたタイミングで、トヨタが10年以上をかけて進めてきたTNGA改革が花開き、自動車販売全体の落ち込みを救った年だったともいえる。
MX-30の分かりにくさ
この連載をお読みの方なら、筆者がMX-30を極めて高く評価しているのはご存じだと思う。ところがマツダの第7世代の中で、この1台だけ何か様子が違う。しかもフリースタイルドアの採用で、どう見ても直球勝負に見えない。変わり種というか変化球というか、本筋の商品に見えないことを筆者は本当に心配している。
乗ると本当に“ど直球”の良いクルマであるにもかかわらず、そういう認識はたぶんまだ周りからされていない。かつてデミオの上位モデルでベリーサというクルマがあって、分かる人に長く支持されてロングセラーになっていた。多分立ち位置としてはあれに似ている気がする。ベリーサも大した期待をせずに走り出して、10メートル走っただけで「あれ? これ良いかも」と思ったのを鮮明に覚えているが、MX-30もまた同様だ。こういうクルマは是非支持されて欲しい。
さて、本年も一年間ご愛読いただいたことに深くお礼を申し上げる次第である。新年は例年通り1日に特別号をお届けしようと思うが、これは目下話題騒然の「ガソリン車廃止」問題について書く予定だ。場合によると前後編になって1日、2日の連続掲載になるかもしれない。
それともう1つお知らせがある。新年より、ITmediaビジネスオンラインでの連載を隔週にペースダウンすることになった。その分は、Webの別媒体で連載がスタートする。まさかその媒体のことをここに書くのは信義に反するので、そのあたりはnoteで改めて説明しようと思う。ご興味のある方はご一読いただきたい。
引き続きITmediaビジネスオンラインでも書き続けていく予定なので、是非ともお付き合いいただけると幸いである。皆様よいお年を。
筆者プロフィール:池田直渡(いけだなおと)
1965年神奈川県生まれ。1988年企画室ネコ(現ネコ・パブリッシング)入社。取次営業、自動車雑誌(カー・マガジン、オートメンテナンス、オートカー・ジャパン)の編集、イベント事業などを担当。2006年に退社後スパイス コミュニケーションズでビジネスニュースサイト「PRONWEB Watch」編集長に就任。2008年に退社。
以後、編集プロダクション、グラニテを設立し、クルマのメカニズムと開発思想や社会情勢の結びつきに着目して執筆活動を行う他、YouTubeチャンネル「全部クルマのハナシ」を運営。コメント欄やSNSなどで見かけた気に入った質問には、noteで回答も行っている。
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