鉄道、宅配、コンビニ、病院が、次々とブラック化するワケ:スピン経済の歩き方(2/7 ページ)
鉄道、コンビニ、病院、宅配――。日本のインフラは整備されていて、利用者にとってはとても便利だ。しかし、である。現場に目を向けると、ブラック化している職場も少なくない。その背景に、何があるのかというと……。
医療の手厚さも「世界一」
これを実現させているのは、大手コンビニチェーンのネットワーク力だ。現在、日本には5万5906店(日本フランチャイズチェーン協会 20年11月度)のコンビニがあって、その9割を大手3社が占めている。コンビニの数だけ見れば、日本よりも人口の多い米国や中国のほうが圧倒的に多いが、「寡占」ともいえるほどはりめぐらされた大手チェーンの店舗ネットワークは日本だけだ。
例えば、日本の約2.6倍ほど人口のいる米国のコンビニ市場は15万3000店と言われているが、そのほとんどはガソリンスタンドに併設した「個人商店」なので、サービスの質はバラバラ。日本国内で2万1038店舗(20年11月末現在)あるセブン-イレブンも、米国とカナダを合わせて約9800店舗ほどの展開で、米国内でのシェアはわずか1割にも満たない。
国土の中にはりめぐらされたネットワークによって、手厚いサービスを提供することでいうと、他の追随を許さないほど「世界一」なのが「医療」である。
日本の病院数が諸外国に比べてダントツに多く、「世界一」であることはよく知られている事実だが、実はそこで行われている医療の手厚さに関しても「世界一」だということは、あまり知られていない。
スタンフォード大学で医療政策部を設立した国際医療経済学者のアキよしかわ氏が立ち上げた、グローバルヘルスコンサルティングジャパン(以下、GHC)という会社がある。このGHCは、24時間体制で急性期患者(重症患者)の治療を行う大きな病院――いわゆる「急性期病院」を対象に経営改善支援を行っており、国内800以上の急性期病院のビッグデータを有している。
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