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鉄道、宅配、コンビニ、病院が、次々とブラック化するワケスピン経済の歩き方(5/7 ページ)

鉄道、コンビニ、病院、宅配――。日本のインフラは整備されていて、利用者にとってはとても便利だ。しかし、である。現場に目を向けると、ブラック化している職場も少なくない。その背景に、何があるのかというと……。

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人口減でインフラにひずみ

 では、なぜわれわれの便利と安心を長く支えてきた「世界一のインフラ」がここにきて示し合わせたように一斉に音をたてて崩れてきているのか。

 1つには「人口減少」があることは言うまでもない。ITなどで効率化できるインフラもあるが、鉄道、宅配、郵便、コンビニ、そして医療というのは、どうしても安全面などから「人」に依存する部分が大きい。というわけで、人口が減少に転じていけば当然、現場の負担は重くなって、労働環境は急速にブラック化していく。

 つまり、今の鉄道、宅配、郵便、コンビニ、医療などで叫ばれる「危機」の本質は、人口増時代に調子に乗って日本中に広げすぎたインフラが維持できなくなっているということなのだ。ただ、この本質はなかなか語られることが少ない。あれが悪い、こいつが悪いと犯人探しをして「広げすぎたインフラをたたむ」――つまり再編・統合を頑なに避けてきた。


人口減で現場から悲鳴の声

 分かりやすいのが「宅配」だ。もう忘れている人も多いだろうが、宅配クライシスが叫ばれたとき、当初「アマゾンが悪い」と叫ぶ人たちがあらわれた。「配送無料」のアマゾンでポチポチと買うことが、ドライバーの皆さんを苦しめているということで、アマゾンのヘビーユーザーを叩くようなムードもあった。

 しかし、ヤマトが残業代を230億円も未払いしていたことからも分かるように、アマゾン以前からとっくに日本の宅配は崩壊寸前だった。アマゾンはその背中を押しただけに過ぎないのだ。

 そして、実はこれとまったく同じ構造が今の「医療崩壊」に言える。マスコミや日本医師会は、コロナ患者が急激に増えているので、医療が崩壊寸前だと叫ぶが、コロナ以前からとっくに日本の医療は崩壊寸前だ。

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