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ガソリン車禁止の真実(考察編)池田直渡「週刊モータージャーナル」(2/6 ページ)

「ファクト編」では、政府発表では、そもそも官邸や省庁は一度も「ガソリン車禁止」とは言っていないことを検証した。公的な発表が何もない。にも関わらず、あたかも30年にガソリン車が禁止になるかのような話が、あれだけ世間を賑わしたのはなぜか? それは経産省と環境省の一部が、意図的な観測気球を飛ばし、不勉強なメディアとEVを崇拝するEVファンが、世界の潮流だなんだと都合の良いように言説を振りまいたからだ。

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マーケットの否定からは何も産まれない

 ここでひとつ筆者がとても気にしていることがある。昨20年の5月7日、経産省参与に水野弘道氏が就任した。省庁の人事なので、少なくとも1カ月くらい前には内示は出ているはずである。常識的に考えればその前に身元の確認はするだろう。

 そういう就任までの一連の手続きを終えていると思われる4月23日、水野氏は米テスラの社外取締役に就任し、現在に至っても2つの仕事を兼務している。この時系列についてはよく考えるべきだろう。仮に経産省参与に就任後だったら、問題視されるだろうし、身元確認時にすでにテスラの社外取締役だったら、果たして参与の内示は出ただろうか? かつてプロ野球界に激震を起こした「空白の一日」と、構図が酷似してはいないか?


経済産業省の参与とともに、米テスラの社外取締役に就任した、元GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)CEOの水野弘道氏

 そしてそもそも、日本の産業界を指導する監督官庁の参与が、わが国の基幹産業と競合する国外企業の社外取締役であることは、筆者には異常事態にしか見えない。

 さて話を元に戻して、つまり実態がない所に尾ひれがついているわけだが、その尾ひれは意図的なものではないかと筆者は疑っている。世論を誘導して、徐々に「ガソリン車が禁止になるのはもうそういう流れだよね」という雰囲気を醸成しようとしている気がしてならないのだ。

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