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ジャック・マー氏“失踪”直前のスピーチ全文(後編)浦上早苗「中国式ニューエコノミー」(3/5 ページ)

アリババのジャック・マー(馬雲)前会長が、2カ月余り公の場に姿を現さず、消息についてさまざまな憶測が流れている。氏が2020年10月24日のスピーチで、中国の金融当局を批判したため、習近平国家主席らの怒りを買ったとの説もある。今回は、筆者訳のスピーチ全文の後編を紹介する。

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 現在の金融システムは工業時代の産物で、工業化のためにつくられた金融システムです。「2・8理論」は、なぜ「2・8理論」と呼ばれるのか、20%投資して問題の80%を解決するためです。しかしが、未来の金融システムは「8・2理論」を解決しなければなりません。80%を占める小さな企業と若者に投資し、残りの20%の人を動かす。過去の「人が金を求める」「企業が金を求める」から、「金が人を求める」「金が企業を求める」「金が優良企業を求める」に変わらなければなりません。

 このシステムの評価基準は、金融包摂、エコ、サスティナブル、そしてビッグデータ・クラウドコンピューティング、ブロックチェーンなど先進技術による裏付けの有無です。それらがあってこそ、巨大な責任を負うに値します。

 皆さん、第二次世界大戦後、当時の人々はこのようなビジョンを持ち、次世代、未来のために良い金融システムをデザインしました。私たちは今、確固たる責任と考えを持って、真の意味で未来、若者、次世代のための、時代に適した金融システムを構築する責任があります。

 私たちはできないのではなく、やらないのです。今日の技術の発展をもってすれば、全てやり通せますが、残念なことに多くの人がやろうとしません。今の世界の金融システムは絶対に改革しなければいけません。さもなくば、機会を失うのみならず、全世界がさらなる混乱に陥るでしょう。イノベーションに監督管理が追いつかないのはよくあることです。ただ、イノベーションが監督管理より先を行き過ぎて、監督管理の想像がはるかに及ばなくなると、それは異常事態であり、社会と世界は混乱に陥るかもしれません。

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