ホリエモンが「次の基幹産業は宇宙ビジネスだ」と断言する理由:インターステラの採用戦略(前編)(2/4 ページ)
北海道大樹町で観測ロケットと超小型衛星打ち上げロケットを独自開発しているインターステラテクノロジズ。同社ファウンダーのホリエモンこと堀江貴文が宇宙ビジネスが自動車産業などに代わって日本の基幹産業になる可能性を語る。日本が持つ技術的・地理的なポテンシャルの高さがあった。
日本が持つ技術的・地理的なポテンシャル
中神: 宇宙ビジネスの世界の動向を見たときに、日本はどういうポジションにいるのでしょうか。
堀江: 日本にはポテンシャルがあります。技術的、地理的なポテンシャルは世界一ではないでしょうか。かつては世界に冠たる航空機大国でしたが、第二次世界大戦で敗戦したので、その後は航空機の技術継承は行われませんでした。その代わりに自動車産業が発展して、世界一になった時期があります。それだけの技術的なポテンシャルが日本にはあるんですね。それに加えて、ロケットは北・南・東の方向に打ち上げるのですが、日本の東南海上はずっと太平洋ですから、ロケットの打ち上げをするには非常に恵まれています。
しかし、社会システムに未成熟な部分があるというか、現代の社会にアジャストできていないことがボトルネックになっています。でもそれはリーダーシップで変わる部分なので、変わり出したら早いのではないでしょうか。
中神: 堀江さんが指摘したポテンシャルは、なかなか皆さんに伝わりきっていないのではとも思いますが、稲川さんはいかがですか。
稲川: 伝わっていないですよね。「なぜ北海道のような緯度の高いところにロケットの射場があるのですか」といつも聞かれます。小学校や中学校で習った「ロケットの打ち上げは南の方がいい」といった知識で、けしからんと思っているのでしょう。
ロケットは目指す軌道によって、打ち上げに適した緯度が異なります。私たちが超小型衛星打ち上げロケットの「ZERO」を飛ばそうとしている地球周回軌道は、緯度がある程度高い方が有利なので、北海道は地理的にすごく恵まれているんですよね。南側が適しているのは静止軌道といわれるところです。だから、合理的に考えて、北海道に本社を置いて射場を整備しています。
中神: 技術的な面ではどのようなポテンシャルを感じていますか。
稲川: 技術的な面は、言い換えれば人材のことですよね。最近、自動車業界から転職した人と「なぜ日本の自動車産業は強いのだろうか」と雑談したときに、日本人の特性のようなものがあるのではないかという話になりました。真面目で細かいことが得意な日本人の国民性が、自動車産業の発展に関係しているということですね。トヨタ自動車に代表される生産方式が国民性や精神性にマッチして、大量生産の時代に良い車を作れたのではないでしょうか。
昔はそれが航空機でした。それから新幹線や自動車になって、この後どうなっていくのかと考えたときに、ロケットがものづくりの新しい産業になっていきます。宇宙産業のハードウェアの生産も、日本人の国民性に合うと思っています。
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