日興証券、THEOの証券業務を吸収分割 ロボアドNo.1を目指す
SMBC日興証券は、ロボアドバイザーサービス「THEO」を運営するお金のデザイン(東京都港区)から、証券業務部分を吸収分割すると発表した。8月1日に実施する。金融テクノロジーを活用したい日興証券と、新たな成長戦略を模索するお金のデザインの狙いが一致した形だ。
SMBC日興証券は、ロボアドバイザーサービス「THEO」を運営するお金のデザイン(東京都港区)から、証券業務部分を吸収分割すると発表した。8月1日に実施する。金融テクノロジーを活用したい日興証券と、新たな成長戦略を模索するお金のデザインの狙いが一致した形だ。
日興証券のダイレクト戦略部長丸山真志氏は、「THEOは、ポートフォリオ運営の中ではかなり進んだテクノロジー。これを活用して先進的なサービスを提供したい。当社にとってはスピードを買うという点もある。ナンバーワンのロボアド事業にしていく」と話した。
ロボアド業界では、2020年12月に上場したウェルスナビが業界トップ。預かり資産残高は3400億円に達している。一方でお金のデザインの預かり資産残高は1078億円と差が開きつつある。
「ロボアド業界は構造的に様変わりしてきている。数年前はベンチャー企業しかなかったが、今はプラットフォーマーや大手金融機関など多彩だ。THEOは概ね順調に成長してきたが、新しい成長戦略を模索しビジネスモデルをアップデートするタイミングだ。加速度ある成長を実現していきたい」と、お金のデザインの山辺僚一社長は話した。
既存のTHEO利用者の口座は、8月に日興証券に移管され、その後は日興証券側で新規口座開設を受け付ける。ロボアドの運営自体は、引き続きお金のデザインが行う。山辺氏は、THEOの「テクノロジーを活用した運用業にフォーカスする」としており、管理コストのかさむ口座管理業務を切り離すことで、優位性のある領域に注力する。
THEOのブランド自体は、引き続きお金のデザインが保有し、地銀などとパートナーシップを組んで展開している「THEO+」についても引き続き展開を進める。
日興証券丸山氏は「5年計画の中で、預かり資産ナンバーワンを目指したい」としており、日興証券の既存顧客への拡販も進める。またこれまでTHEOが対応していなかった、NISAやiDeCoといった税制優遇策への対応についても、「具体的な話としては進めていないが、できるだけ施策を早い段階で進めていきたい」とした。
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