男性育休、満足度は男女で差 “取得できない”理由は「収入」「職場」:取得意向はあるが……
みんなのマーケットの調査によると、男性本人や男性配偶者が育休を取得した経験がある人は8.4%にとどまった。また、男性が育休を取得して「非常によかった」と回答した割合は男女で大きな差が出た。
男性の育児休暇取得を促進する動きが加速している。政府は2025年までに男性の育休取得率を30%に引き上げる目標を掲げているが、現状はまだ1割未満にとどまる。今後、育休を取りやすい環境を整備するための法改正も進んでいく見込みだ。
生活関連サービス「くらしのマーケット」を運営するみんなのマーケット(東京都品川区)が1月29日に発表した調査結果によると、男性本人や男性配偶者が育休を取得した経験がある人は8.4%にとどまった。また、男性が育休を取得して「非常によかった」と回答した割合は男女で大きな差が出た。
既婚で子どもがいる男女に、「育休を取得したことがあるか」(男性)、「配偶者が育休を取得したことはあるか」(女性)を尋ねたところ、「取得しなかった」が83.8%と多数を占めた。「取得した」が8.4%だった一方、「取得したかったができなかった」という人も7.9%いた。
一方、子どもを望んでいる男性に「子どもができたら育休を取得したいか」と尋ねると、「絶対取得したい」が53.6%、「できれば取得したい」が32.1%と、8割以上に取得意向があった。
育休を「取得したかったができなかった」「取得しなかった」と答えた男性にその理由を聞くと、「収入が減るのは困るから」が30.7%と最多。「職場の仕事が回らなくなるから」(28.0%)、「職場に取得しづらい雰囲気があるから」(25.3%)と、職場の状況を理由として挙げる人も多かった。
実際に育休を取得した男性と、配偶者が育休を取得した女性に満足度を尋ねたところ、差が見られた。「非常に良かった」は男性が81.8%だったのに対して、女性は47.6%にとどまった。女性は「どちらかといえば良かった」が42.9%を占めている。
「非常に良かった」と回答した女性からは、「家事育児の共有ができた。二度とない新生児期を一緒に過ごして、かわいさを共有してもらえた」「コロナの影響や両親が遠方に住んでいることもあり、周囲の協力が得難い状況の中で、頑張ってもらえるのはありがたかった」といった声があった。一方、「どちらかといえば良かった」「どちらともいえない」と回答した女性からは、「産後は身の回りの世話(炊事洗濯)をしてほしかったが、普段やらないのでできるわけもなく、常に指示待ちでイライラ」「趣味の時間が多かった」といった理由が挙がった。
調査は1月19〜24日、くらしのマーケット会員522人を対象に、インターネットで実施した。
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