横浜市の「EVバス」実証実験が、路線バスの将来像に大きな影響を与えそうな理由:FCバスも(1/4 ページ)
横浜市がEVバスの実証実験を行っている。同プロジェクトは路線バスの将来像を築き上げる可能性を秘めていると筆者は考える。その理由とは?
日本の路線バスは21世紀に入ると、ノンステップバス、ハイブリッドバスが実用化され、主要都市では主力車両と化している。近年はノンステップの次世代バージョンとして、トヨタ自動車が開発したFCバス(FCは「Fuel Cell」の略。燃料電池バス)「SORA」、EVバス(EVは「Electric Vehicle」の略。電気で走る自動車型のバス)の導入が少しずつ広まっている。
試験的ながら、その両方を導入したのが横浜市である。特にEVバスは実証実験の結果如何によっては、路線バスの将来像を築き上げる可能性を秘めている。
環境省の委託事業として新時代のEVバスを導入
横浜市は「Zero Carbon Yokohama」を掲げ、地球温暖化対策、エネルギー施策を強化すべく、持続可能な大都市モデルの実現に向けた取り組みを進めている。
その一環として、2019年9月、SORAを試験的に1台導入した。水素と酸素を取り込んで化学反応を起こし、発生させた電気でモーターを回して走るもので、二酸化炭素を含む排気ガスを一切出さないクリーンさがウリだ。ガソリンの代わりとなる水素の充填(じゅうてん)は、ENEOS横浜南水素ステーションで行なう。
しかし、SORAは6年間のリース商品のため、2025年以降については、そのときにならないと、「結論が出せない」と見ていいだろう。
今回のEVバスは、産学官プロジェクト(環境省の委託事業)「環境省CO2排出削減対策強化誘導型技術開発・実証事業『エネルギー密度を向上した大型車用EVシステムの開発と大都市路線バスへの適用実証』」として、熊本大学(代表実施者及び、技術開発代表者)が中心となって技術開発を行ない、大都市圏での実用性を確認するものである。
共同実施者として、横浜市(実証試験者)、株式会社イズミ車体製作所(車両技術の開発)、株式会社ピューズ(EVシステムの開発)、東京電力ホールディングス株式会社(電力マネジメント)、株式会社e-Mobility(充電インフラの整備)が名を連ね、官民一体でEVバスの普及に向けて取り組む。それぞれのスペシャリストが手を組むことで、EVバスが大量に運行できる仕組みを構築してゆく。
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