コクヨのIoT文具「しゅくだいやる気ペン」、1万台以上売れた秘密:あの会社のこの商品(4/4 ページ)
子どもが小学校に入学すると、多くの親は子どもがきちんと勉強してくれるかどうかについて不安を覚える。そんな不安を解消するために、文具最大手のコクヨは、IoT技術を用いた親子間コミュニケーションで子どもの学習意欲を引き出すことを目指した。そのために開発されたのが、「しゅくだいやる気ペン」だ。
新型コロナウイルス感染予防に伴う休校時は利用率がアップ
現在はAmazonなどでも購入できるが、発売から半年ほどはコクヨ公式オンラインショップ「コクヨショーケース」でしか買えなかった。販売チャネルを限られたECサイトだけにしたのは、ある程度のITリテラシーがあって商品のことをきちんと理解してくれる人に買ってほしいという想いから。当初「コクヨショーケース」だけだったのは、購入者にアンケートを実施することができるため。ユーザーの声をアップデートに生かすことにした。
新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、20年に多くの学校で休校措置が取られたときは、「しゅくだいやる気ペン」の利用率がグンと上がったという。これにより1日5個までしか手に入らないリンゴがすぐ手に入ってしまう事態が多々見受けられたことから、3日連続で5個手に入れたら上限が開放されるように変更し、やる気や成長の度合いを妨げないようにした。
利用率が上がったことで、「やる気の庭」のすごろく全18ステージを達成した子どももいたほど。急きょ、それまでの全18ステージがアトランダムに現れ、すべて達成するとまた繰り返す「むげんの庭」を追加した。
子どものやる気をより引き出すべくコラボ企画もスタートする。JAMSTEC(ジャムステック:国立研究開発法人海洋研究開発機構)とのコラボでは、「やる気の庭」に海と地球の探求をテーマにした「うみのふしぎの庭」を制作。海の環境問題や深海生物、海底や海底下に広がる地球内部の不思議に出会うことで海の世界にワクワクするものを20年6月から配信を始めた。また、国内最大級の学習教材フリーサイト「ちびむすドリル」とのコラボでは、20年9月からオリジナル学習ドリルの無料ダウンロードを開始。年長から小学4年生までそれぞれの難易度に応じたドリルが用意されている。
「しゅくだいやる気ペン」は、子どもが自主的に勉強するようになるツールではなく、子どもと親がきちんとコミュニケーションを取ることで子どもの学習意欲を育むもの。将来を担う子どもたちを1人でも多く、勉強好きにし、好奇心旺盛にするのに今後、商品のコンセプトや世界観の正しい理解と浸透が求められる。
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