「給与が高すぎる社員がいる」 経営者の6割が悩み 中小企業対象の調査:あしたのチーム調べ
あしたのチームの調査によると、中小企業の経営者の62.7%が「払っている報酬(給与)に見合う成果を出していない社員がいる」と回答。一方、76.7%の経営者は「報酬以上の成果を出している社員がいる」という。
中小企業の経営者の62.7%が「払っている報酬(給与)に見合う成果を出していない社員がいる」と思っている──人事評価のクラウドサービスを提供するあしたのチーム(東京都中央区)が、そんな調査結果を発表した。一方、76.7%の経営者が「報酬以上の成果を出している社員がいる」とも回答。適正な報酬を払いたいが、人事評価制度や給与決定の仕組みに悩んでいる経営者は少なくないようだ。
「直近1年以内に、払っている報酬(給与)に見合う成果を出していないと思う社員はいますか(いましたか)」「また、直近1年以内に、払っている報酬(給与)以上の成果を出していると思う社員はいますか(いましたか)」(それぞれ単数回答)という質問の結果=あしたのチーム調べ
部下が5人以上いる管理職でも、結果は同様。「報酬に見合う成果を出していない部下がいる」が68.0%。「報酬以上の成果を出している部下がいる」が71.3%だった。
コロナ禍で「成果を出さない社員を解雇したいと思う(思った)」経営者は42.6%という結果だった。また「成果(出来高)に応じ、給与額を増減させる賃金制度にしたい」という経営者は78.0%。できることなら、可視化された成果に応じて相応の報酬を支払う、明快な給与の仕組みを望んでいることが分かった。
理想とする人事評価での給与の決め方は、「業務の成果(数字的結果や行動量)を重視」が最多で、経営者は78.0%、管理職は71.3%だった。「業務の成果(数字的結果や行動量)のみ」を合わせると、経営者・管理職ともに8割を超えた。
昨今、注目を集めるジョブ型雇用に対し、経営者が期待することは、1位が「成果の可視化による正当な評価」(60.2%)、2位が「業績への貢献度に応じ適正な報酬を支払うこと」(47.0%)、「社員の成果に対する意識の変化」(38.6%)だった。
ジョブ型雇用の導入により、評価や報酬決定方法がシンプルかつ合理的になることを、経営者は望む傾向にあるようだ。あしたのチームは「中小企業では、これからは『勤続年数や役職』にとらわれず、ジョブ型雇用のベースとなっている業務の成果に応じた給与決定方法が主流になるかもしれない」とも分析している。
調査は1月27〜29日、インターネットで実施。従業員数5人以上300人未満で、人事評価制度がありジョブ型雇用を導入していない企業の経営者(20歳以上の男女)、勤続1年以上でマネジメントや人事評価をする対象となる部下が5人以上いる管理職(20歳〜59歳の男女)を対象とし、各150人から回答を得た。
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