コラム
森会長退任問題が暴露した、根性論組織の弱さ:リスク管理できない日本的組織(3/3 ページ)
森元総理の失言問題大炎上は、JOCの組織そのものへの批判とエスカレートしました。なぜ失言癖のある森氏に会長を任せたのか。背景に……。
組織の稼働を止めてはならないという当然の危機管理
組織委員会には6人の副会長がいます。なぜ会長が退任した場合、副会長が後を継がないのでしょうか。企業であれば職務代行者順位があり、社長はもちろん、部長が欠けても課長が欠けても組織が動かせるシンプルかつ有効な仕組みがあります。米国大統領も正副2名の大統領が常に別働することで、万一の時に政務を継続でき、さらに下院議長、上院仮議長と継承順位はしっかり決まっています。組織管理の基本といえます。
結局単なる偉い人をとりあえず副会長にしておけ的な、きわめて悪い意味での日本の組織の代表のようなものだといえるでしょう。コロナの終息が見えない中、オリンピック選手や元選手だった役員の方々からは、「選手の夢」や「一生を賭けた戦い」といった自分たちの都合は聞こえても、コロナにどう対処するか、コロナリスクと大会運営の両立という建設的意見は聞けませんでした。そんな人たちが運営している組織は、やはり組織としてはきわめていびつであり、危機管理についても対策できていないものといわざるを得ません。
「オンラインじゃ気持ちが伝わらない」という思考は、コロナ下での出社を強要したり、患者を差別したりする非科学的なものと同一と思います。名誉と管理者能力をごっちゃにするのは、この同一の非科学的思考によるものと断じたいと思います。(増沢 隆太)
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