スシロー、成長戦略のカギは「キャンペーン」と「特大エビフライ」!? コロナ後を見据えた布石とは:飲食店を科学する(4/4 ページ)
コロナ禍で、今後の成長戦略をどう描くか悩む経営者は多い。筆者はスシローにそのヒントがあると考える。「業態と商圏」「既存と新規」という軸で見ていくと……。
D:多角化戦略(新規業態×新規商圏)
これは「新規の業態」を「新規の商圏」で展開していく戦略です。コロナ禍で大きな影響を受けている飲食店経営者の方からは、最近この多角化戦略についてご相談をいただくケースが多くなりました。
しかし、多角化は既存の商圏(顧客)や既存の業態といった自社の強み・ノウハウが活用できず、設備投資も発生するため、一般的には失敗するリスクが格段に高くなります。私はこうしたリスクを回避した上で多角化する手法として、「(1)フランチャイズ加盟」「(2)代理店加盟」「(3)他社提携」「(4)M&A」という4つの方法を推奨しています。
それではスシローの多角化戦略を見ていきます。
同社は19年にファンドを通じて、英国・ロンドンを中心として寿司などのテークアウト型チェーンストアを展開するWasabi Sushi Bento Limitedに出資をしています。両社は戦略的パートナーとして、欧州市場におけるさらなる投資機会の検討や、将来的な世界展開に関する包括的な業務提携を行っています。
当然ながらコロナ禍で英国市場も厳しい状況ですが、スシローグローバルHDは追加投資を行っています。
ここまでの話をまとめると、同社はコロナ禍においても、4つの成長戦略をバランス良く展開していることが分かります。
長引くコロナ禍により先行きが不透明な時代ではあります。しかし、こうした時だからこそ、改めて自社の強みをブラッシュアップした上で、未来を見据えた戦略をしっかりと立てることが重要となります。
今回ご紹介した「ウィズ&アフターコロナの成長マトリクス」が皆さまの会社の成長戦略策定に少しでもお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
著者プロフィール
三ツ井創太郎
株式会社スリーウェルマネジメント代表。数多くのテレビでのコメンテーターや新聞、雑誌等への執筆も手掛ける飲食店専門のコンサルタント。大学卒業と同時に東京の飲食企業にて料理長や店長などを歴任後、業態開発、FC本部構築などを10年以上経験。その後、東証一部上場のコンサルティング会社である株式会社船井総研に入社。飲食部門のチームリーダーとして中小企業から大手上場外食チェーンまで幅広いクライアントに対して経営支援を行う。2016年に飲食店に特化したコンサルティング会社である株式会社スリーウェルマネジメント設立。代表コンサルタントとして日本全国の飲食企業に経営支援を行う。最近では東京都の中小企業支援事業の選任コンサルタントや青森県の業務委託コンサルタントに任命される等、行政と一体となった飲食店支援も積極的に行っている。著書の「飲食店経営“人の問題”を解決する33の法則(DOBOOK)」はアマゾン外食本ランキングの1位を獲得。
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