ITエンジニアのキャリア不安、2位は「今の会社で給与が上がるか」、1位は?:職種別の給与・残業ランキングも
パーソル総合研究所が、ITエンジニアの就業意識調査を発表。キャリア不安ランキングの1位は「自分の技術やスキルの陳腐化」だった。
ITエンジニアがキャリアを歩んでいくうえで、不安に思うことは? パーソル総合研究所の調査によると、1位は「自分の技術やスキルの陳腐化」(46.5%)だった。それ以外の職種の回答結果(36.8%)と比べると、技術やスキルへの不安感が高いことが浮き彫りになった。
2位は「今の会社でどこまで給与が上がるか不安」(45.9%)、3位は「新しい技術やスキルの習得」(43.6%)だった。パーソル総合研究所は「企業としては、ITエンジニアが技術やスキルを研鑽(けんさん)する機会を積極的に提供すべき」と指摘している。
年収と転職意向の関係性をみると、ITエンジニアは年収が高いほど定着しやすい傾向にあることも分かった。ITエンジニアの場合、職務に見合った市場価格であれば、それ以外の職種以上に定着する可能性があるようだ。
ITエンジニアの希望年収と現在の年収の差は150.1万円、それ以外の職種における差は141.4万円。ITエンジニアの方が8.7万分ギャップが大きく、給与に関してより不満を抱えている可能性がある。
パーソル総合研究所は「希望年収と現年収のギャップの大きさは、ITエンジニアでは転職意向を上げ、それ以外の職種では管理職意向を下げる」と分析。ITエンジニアの場合、転職市場に求人ポジションが相当数あり、どの会社でも通用するスキルを持っていることが背景にあるようだ。
希望年収と現年収で最も差があるエンジニアは?
希望年収と現年収に最も差がある職種はセキュリティエンジニアで、181.7万円のギャップがあった。同研究所は「人材の希少性を背景に給料面で不満を抱えている可能性が高く、注意が必要だ」としている。
ITエンジニアが使っているプログラミング言語別に希望年収と現年収をみると、最も差が生じたのはTypeScript(226.6万円のギャップ)だった。
ITエンジニア全体の月平均の残業時間は18.2時間。職種別にみると「IoTエンジニア」「ネットワークエンジニア」「インフラエンジニア」の順で、残業時間が長い。役割別にみると「プロジェクトマネージャー」「プロダクトマネージャー」といった調整機能を担う場合に長時間労働となる傾向もみられる。
調査は2020年9月4〜7日、インターネットで実施。ITエンジニア職1600人、その他の職種も合わせると2500人から回答を得た。
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