事故物件を専門に扱う「成仏不動産」 社長が驚いた「安くなくても買う人」の存在:国も対策に乗り出す(3/4 ページ)
過去に死亡事故などが発生した住宅(いわゆる「事故物件」)を専門に掲載する「成仏不動産」というWebサイトがある。なぜこのようなサービスを立ち上げたのか?
事故物件に抵抗感がない人も多い?
成仏不動産に掲載している事故物件の情報はどのようにして探しているのか。当初は、他社のポータルサイトや不動産業者専用のデータベースなどから探し、「成仏不動産に掲載させてほしい」と地道に交渉していた。最近は、全国の不動産業者やオーナーから「掲載させてほしい」という問い合わせも増えている。
成仏不動産には約230件の物件情報が掲載されている。内訳は孤独死が4割、自殺が4割、その他が2割だ。サイトを開設してから、延べ1100件程度掲載してきた。これまでの成約件数は63件だという(2月18日時点)。事故物件を買ったり借りたりするのは高齢者や若者が多かったが、最近は多様化してきているという。
具体的なビジネスモデルはどうなっているのか。花原社長によると、物件の買い取りや売却の仲介手数料などが収益の柱だという。その他、特殊清掃事業なども手掛けている。
花原社長は新しい取り組みも始めている。例えば、20年11月から事故物件を自社で買い取り、リノベーションして販売する事業を始めた。これまで3つの物件が売れたという(いずれもマンション)。花原社長は「3つのうち、2つの物件を購入されたのは女性の方です。驚いたのは、どちらも『事故物件は全く気にならない』とお話されていたことでした」と説明する。一般的に、事故物件は相場の価格から10〜20%安くなることが多いという。一方、花原社長が販売した物件は、ターゲットを絞った戦略的なリノベを実施した効果もあり、価格下落率が平均で5%だった。不動産の価格はさまざまな要素によって決まるため、一概にはいえないが、花原社長は事故物件の流通に可能性を感じているようだった。
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