コロナ禍の“映画鑑賞”どう変わる? 激動の「ストリーミング戦争」 Netflixは会員数500万人にほぼ倍増(1/4 ページ)
ここ1年で人々の消費の形が変化し、特に映画の受容形態は大きく変わった。新作の公開の場としてストリーミングサービスが活用されている。
新型コロナウイルス感染拡大に伴う2度の緊急事態宣言発令。「巣ごもり」という聴き慣れないワードが一般化するに伴い、在宅ワークの促進や、教育機関のリモート化が進んだ2021年。国内感染の確認から早1年以上が過ぎ、ニューノーマルという言葉すら既に古びてしまった昨今、人々の消費の形は瞬く間に変化した。
そのうち最も大きく変わったものの一つが映像コンテンツ、特に映画の受容形態だ。20年2月後半、国内のイベント産業が自粛傾向になるにつれ、映画館も自主的な休館、営業時間の短縮を始めた。加えて特に北米で感染が大幅に拡大するにつれ、新作映画の公開スケジュールも大きく後退。ワーナー、FOX、ディズニーなどの抱える巨大IP作品が次々年単位での延期を余儀なくされ、日本でも「ドラえもん」「名探偵コナン」といった年間興行収入の上位常連作品が影響を受けた。21年2月現在は多くの映画館が営業を再開しているものの、先月に「シン・エヴァンゲリオン劇場版」の公開延期が発表されたことは記憶に新しい。
ストリーミングサービスは「新作」の公開場所に
そんな中、新作映画の公開の場として機能したのがストリーミングサービスだ。これらの映像プラットフォームサービスは、家庭内での娯楽を求めるユーザーにマッチし、瞬く間にユーザー数を伸ばした。Netflixについて言えば、日本国内での有料会員数は300万人(19年9月)から500万人超(20年10月)へとほぼ倍増。五輪のために買い換えたはずの大型テレビで「愛の不時着」や「クイーンズ・ギャンビット」を見た方も少なくないだろう。グローバルでの会員数はついに2億人を突破と、快進撃を続けている。
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