退職者を「裏切り者」にしない! アルムナイネットワークの効果・取り組みのポイント:3つのポイント(1/2 ページ)
近年、「アルムナイ」という言葉とともに、企業が自社の退職者とのつながりを維持・活用することに注目が集まっている。アルムナイネットワークによる効果を創出するためのポイントを紹介する。
本記事について
本記事は『人事実務』(2021年2月号)「アルムナイネットワークの活性化・活用の効果と取組みのポイント」(著者:土橋隼人)を一部抜粋、要約して掲載したものです。
当該号の詳細はこちらからご覧いただけます。
著者:土橋隼人
PwC コンサルティング合同会社 組織人事・チェンジマネジメント シニアマネージャ
アルムナイとは何か
あなたの会社にとって退職者(もしくは退職する予定の従業員)とはどのような存在だろうか。「裏切り者」とまではいかないまでも、多くの場合それほどポジティブな存在として扱われていないのではないだろうか。また、あなたの会社の人事部門にとって、退職者は人材マネジメントの対象であろうか。退職した時点で人材マネジメントの対象外としているケースもあるのではないだろうか。
近年、「アルムナイ」(Alumni)※という言葉とともに、企業が自社の退職者とのつながりを維持・活用することの効果に注目が集まっており、前述のような姿勢を見直す必要性も指摘されている。退職者を「裏切り者」のように扱い、関係構築を放棄することによってビジネス上の損失を招いているのではないかという考え方だ。
※アルムナイとは、本来大学などの卒業生・同窓生を示す言葉であるが、人材マネジメントの文脈では企業の退職者を指す(Corporate Alumni)。
アルムナイを再雇用するための仕組み・活動として一面的に捉える向きもあるが、アルムナイネットワークの構築・活用は、より広い意味で効果がある取り組みである。具体的には(1)ビジネス創造・コラボレーション、(2)人材獲得(アルムナイの再雇用)、(3)雇用ブランドの向上、(4)従業員が求める体験価値(EX=Employee Experience)の提供とエンゲージメント向上──が挙げられる。ここでは、これらの効果を創出するために必要な取り組みを紹介したい。
アルムナイを効果創出につなげるためのポイント
アルムナイネットワークによる効果を創出するためのポイントは、以下の3点である。
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