男性社員の育休取得をアップさせる環境づくり、3つのポイント:なぜ低いのか(1/3 ページ)
「イクメン」という言葉が以前よりも聞かれるようになりましたが、依然として男性の育児休業取得率は低いままです。男性社員が育休取得するためには、どのような環境づくりをすればよいか解説します。
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本記事は、2021年2月号に掲載された「男性社員の育休取得をアップさせるための環境づくりとは」(著者:岩野麻子)を、ITmedia ビジネスオンライン編集部で一部編集し、転載したものです。
男性の育休取得の現状と課題
厚生労働省の「雇用均等基本調査」によると、2019年度の育休取得率は男性が7.48%、女性が83.0%でした。いずれも前年度比でわずかに上昇したものの、男性の育休取得状況は依然として低い割合にとどまっています(図表1)。
取得した育休期間についてみると2017年4月1日からの1年間に育休を終了し、復職した女性の育休期間は、「10カ月〜12カ月未満」が31.3%と最も高く、次いで「12カ月〜18カ月未満」29.8%、「8カ月〜10カ月未満」10.9%の順となっています。
男性は「5日未満」が36.3%と最も高く、次いで「5日〜2週間未満」35.1%となっており、2週間未満が7割を超えていることが分かります(図表2)。男性の育休取得については、取得率だけでなく、「2週間未満」という取得期間においても、女性とは大きな差があります。
なぜ男性の育休取得率は低く取得期間も短いままなのか
(1)古い固定観念に縛られている
男性の育休取得が進まない理由の一つに、「男性社員が育休取得したいなんて、仕事で成果が出せないから休みたいだけでは」「育児は母親の仕事なのに、なぜ父親が育休取得をするのか」といった考え方が根底にあるようです。
まずは、このような考え方を、見直す必要があるでしょう。
(2)環境が整っていない
中小企業では、限られた人員で業務を担っている場合も多く、働き盛り世代の社員に育休を取得させることは至難の業です。
しかしながら一方で、育休に限らず、病気やケガ、家族の介護等で突然、社員が仕事を休まざるを得なくなるケースも考えられます。1人抜けたら業務が回らない状況は、会社のリスクにもなり得ますので、リスクヘッジのためにも、必要なときに休暇や休業を取得できる環境を整備することは、不可欠といえるでしょう。
(3)収入や待遇に不安がある
育休を取得する男性社員にも不安な要素があります。そのうちの一つが収入面でしょう。通常、雇用保険の被保険者が育休取得する場合、男性・女性を問わず、原則として、子どもが1歳となる日の前日まで育児休業給付を受けることができます。
育児休業給付額の計算は次の通りです。
育児休業給付額
=休業開始時賃金日額(賞与を除く休業開始前6カ月間の総支給額÷180)×支給日数×67%(育児休業の開始から6カ月経過後は50%)
育休中は、育児休業給付を受給できるだけでなく、社会保険料も免除となります。そのような制度はありがたいものですが、一時的に所得が減ってしまうため、不安に思う人もいるようです。
加えて、育休を取得することで、「元のポジションに戻れなくなるのではないか」「職場復帰後の人事評価に影響するのではないか」という心配もあるようです。
育児介護休業法では、育休取得等を理由とする不利益な取扱いを禁止していますが、このような不安を抱かせてしまうことも、育休取得が及び腰になる要因の一つと考えられます。
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