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コロナ禍で参加者4倍のオンライン読書会「ペアドク」 サービス責任者に狙いを聞いた「近づけない、集めない」時代を生き抜く、企業の知恵(2/3 ページ)

オンライン読書会の「ペアドク」が参加者を伸ばしている。「ペアドク」とは、30分本を読んで、30分感想をシェアするペア読書という読書法に、著者から話を聞き、直接質問ができる機会を加えて発展させたイベントだ。企画やコーディネートを担当する松原嘉哉氏に狙いを聞いた。

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完全オンライン化で参加者が増加

  「ペアドク」を始めた当初は、ジュンク堂書店池袋本店のカフェを会場にしたリアルのイベントだった。松原氏は、著者を呼ぶことでペア読書を発展させたイベントを実現できたものの、リアルで開催することには限界も感じていたという。

  「リアルだと参加者は30人が限界です。大きな会場で開催しても、質問できる人数は限られますし、会場代などのコストもかかります。それ以外に、著者の拘束時間が長いのも課題でした。はじめにあいさつをしてもらった後、参加者が読んでいる間は暇ですよね。移動時間を含めると3時間以上拘束してしまうので、リアルとオンラインを融合できないかと考えていました」

 そのタイミングで新型コロナウイルスの感染拡大が始まった。どのようにして続けるかを検討した結果、20年3月に初めて完全オンラインでの開催に踏み切った。すると、大きな手応えを感じたという。

 「オンライン化したことで、著者には対話の時間だけ参加してもらえばいいので、拘束時間も短くなり、お願いしやすくなりました。参加者の面では、首都圏以外の人が参加できるようになったことが大きいですね。現在では半分は首都圏、もう半分はそれ以外の地域からの参加なので、市場が倍に広がったと考えられます。この新しい読書会を伸ばしていけると手応えを感じました」

 住んでいる場所に関係なく参加できるようになったことで、100人以上が参加することも多くなった。さすがに人数が多くなると、全員が著者に質問する時間はなくなるものの、代わりに参加者全員に「この本のどこにハッとしたか」など、感じたことをチャットに書き込んでもらうことで、一緒に読書を楽しませる体験ができる。

 毎回参加者にアンケートを取る中で、満足度は98%と高い数字が出ている。それでも松原氏は、常に新しい進め方を模索しているという。

 「1回目の緊急事態宣言が出た4月頃であれば、オンラインイベントはまだ珍しかったと思います。ところが、今では当たり前になって、YouTubeやテレビ、それにClubhouseなどとも競合しますので、いつでも離脱される可能性があります。だから、質がより重要になってきたと感じていますね。

 イベントが終わった後には、アフターパーティーという形にしてオンラインでつないで、参加者に率直な感想を聞いています。さまざまな意見を聞きながらイベントの設計にこだわりつつ、参加者を巻き込んでいければと思っています」


「ペアドク」を始めた当初は、ジュンク堂書店池袋本店のカフェを会場にしたリアルのイベントだった

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