超小型衛星4機を打ち上げ アクセルスペース中村友哉CEOが語る「民間宇宙ビジネスの未来」:地球観測サービス「AxelGlobe」の勝算【後編】(2/4 ページ)
超小型人工衛星を活用した宇宙ビジネスを展開するアクセルスペースが、自社で開発した衛星「GRUS」4機を、3月20日に打ち上げる。複数の同型衛星を一度に打ち上げるのは、日本の企業では初めてだ。アクセルスペースの中村友哉氏、経産省、JAXA、NASAなどに民間による宇宙ビジネスの未来を聞いた。
衛星の大量生産の戦略は「少量多品種」
続いて、今回アクセルスペースが同型の衛星4機を生産し、大量生産への道筋をつけようとしている点に議論が移った。中須賀氏が「どのようなやり方をするのかを技術的にも期待している」と述べ、衛星の生産におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)の取り組みと、大量生産に向けた戦略を中村氏に聞いた。
中村氏は「衛星の生産は手作業が多く、DXによる効率化は非常に大きな課題」としながらも、「将来的にはDXを組み合わせて、ロボットが24時間衛星を作るような世界を作っていきたい」と述べた。
また、大量生産の戦略については、100キロ級の衛星に長く取り組んできた強みを生かしていきたいとして、次のように戦略を語った。
「100キロ級の衛星は比較的大きな望遠鏡が搭載できますので、より多くの光を集めて、品質の良い画像が撮影できます。画像は見た目がきれいなことよりも、解析できる品質であることが重要です。今後は機械が画像を解析することが当たり前になりますので、AI(人工知能)の技術などをうまく使うためにも、高品質な画像を安定的に撮影することが必要になってきます。
そのための衛星の生産体制として、スターリンクのように同じものを大量につくるよりは、ニーズに対応しながら少量多品種で生産することを考えています。1つの種類の衛星は、同じものを作ったとしても10機から数十機くらいではないでしょうか。少量多品種の生産は、世界中でどこの会社もやっていない方法だと思います。新たな需要に対応できるよう、毎年新しい衛星をつくらなければならないと考えています」
中村氏の発言を受けて中須賀氏は、「少量多品種は世界でもキーワードになっています。顧客のニーズがどんどん変わっていくことに、いかに応えていけるかが、ひとつの勝負の道ですね」とアクセルグローブの戦略を評価した。
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