テレワークで東京を脱出、都心を離れて地方移住すべきか:本質を見極めて(2/3 ページ)
ついに東京の人口が、前年を下回ったという。これはまぎれもなく新型コロナウイルス感染拡大による、テレワークや在宅勤務の推進、つまり都心のオフィスに行かなくてもよくなったことなのだろう。
こうした動きを見れば、どちらかといえば、仕事にも資金にも余裕のある方たちが、郊外のゆったりとした住まいを購入したり、借りたりしているのだろう。
その証拠といえるかどうかは別として、テレワークを実施している人は、高収入の人が多い。ある調査によれば、東京23区内のテレワーク実施率のほうが地方に比べると3倍近く、年収別で見た場合、1000万以上は半数以上で、300万円未満は1割ちょっとだという。完全に収入とテレワークの実施率は比例しているといえそうだ。
つまり、テレワークがどうのこうのという議論は、都会で高収入が条件ということなのだろう。どういうことかといえば、儲かっている企業(大企業を中心とした年収の高い企業、そしてその企業にお勤めの方々)ほど、テレワークを導入しているということだ。
テレワークの条件は、ICTシステムの導入やら、多彩な働き方改革の土壌やら、柔軟な人事システム・業務プロセスやら言われることも多いし、もちろんそうした要素もあるとは思うが、もっとも大きいのはその企業において、バリューチェーンがどれだけ盤石かによるところのほうが大きいのではないか。
テレワークの問題として、上司への報告や事案に対する意思決定、コミュニケーションの不足による仕事の停滞などを挙げる人は多いが、すでに確固たるバリューチェーンができていて、状況に応じた意思決定が常に行われているのであれば、オフィスワークであろうがテレワークであろうが、仕事のプロセスとしては大きな問題はない。しかるべき人がしかるべきときに意思決定を行うシステムができているからだ。
多くの中小企業や小規模事業者は、バリューチェーンはあるものの、その場対応の的確な意思決定や例外的で臨機応変な業務が必要なケースが多く、テレワークの場合、そこに問題が出ることのほうが多い。
また、オンラインミーティングとひとことで言っても簡単ではない。人がひしめく多くの中小企業おオフィスで、それぞれのメンバーがそれぞれにオンラインミーティングを行うには、かなり難しいものがある。デスクにてフリーに声が出せる環境のオフィスであれば問題ないが、デスク上でのオンラインミーティングはまず不可能だろう。基本ミュートにしておかないとオンラインミーティングはできないし、そういうミーティングで何かが生まれるとは思いにくい。
関連記事
- 「世界一勤勉」なのに、なぜ日本人の給与は低いのか
OECDの調査によると、日本人の平均年収は韓国人よりも低いという。なぜ日本人の給与は低いのか。筆者の窪田氏は「勤勉さと真面目さ」に原因があるのではないかとみている。どういう意味かというと……。 - 7割が「課長」になれない中で、5年後も食っていける人物
「いまの時代、7割は課長になれない」と言われているが、ビジネスパーソンはどのように対応すればいいのか。リクルートでフェローを務められ、その後、中学校の校長を務められた藤原和博さんに聞いた。 - 「男女混合フロア」のあるカプセルホテルが、稼働率90%の理由
渋谷駅から徒歩5分ほどのところに、ちょっと変わったカプセルホテルが誕生した。その名は「The Millennials Shibuya」。カプセルホテルといえば安全性などを理由に、男女別フロアを設けるところが多いが、ここは違う。あえて「男女混合フロア」を取り入れているのだ。その狙いは……。 - SUUMOの「住みたい街ランキング2021 関西版」発表 3位は「神戸三宮」、2位は「梅田」、1位は……
リクルート住まいカンパニーが「住みたい街ランキング2021 関西版」を発表した。1位は4年連続の……。
関連リンク
Copyright (c) INSIGHT NOW! All Rights Reserved.