ヤフーとLINEが経営統合、川邊・出澤共同代表に聞く――ZホールディングスにあってGAFAにない優位性とは?:オンラインとオフラインの垣根をなくす(4/4 ページ)
ヤフーを傘下に置くZホールディングスとLINEが経営統合して、新生Zホールディングスが誕生した。GAFAが日本でも大きな市場シェアを獲得していて、これに打ち勝つのは容易ではない。どのような施策を打つことで、ライバル企業に勝るネットサービス企業になろうとしているのか。共同最高経営責任者(Co-CEO)に就任した川邊健太郎氏と出澤剛氏にインタビューした。
ZホールディングスにあってGAFAにない優位性
――大きな会社をマネジメントする上で、リーダーとして日ごろから気に掛けていることはありますか。
川邊氏: 事業分野が多岐にわたっていますから、それぞれの仕事の目的をはっきりさせて、ビジョンを提示するようにしています。またビジョンを提示した後に、そのあかつきに何が生まれるのかを実際にメンバーと確認し合うことが大事だと思います。
出澤氏: 2万人規模の会社を前に進めていくためには、目的を達成するための作戦とゴールを、それぞれが共有することが必要だと思いますね。日本からアジアへ、世界へという大目標がありますから、ここが重要になると考えています。
――Zホールディングスの親会社はソフトバンクグループで、同社の傘下には携帯電話事業を手掛けるソフトバンクがあります。グループ会社に携帯電話事業を持っている点はGAFAにない優位性で、貴社が発展していくためのポイントになると思いますが、GAFAに対抗していくために、これをどのように生かそうと考えていますか。
川邊氏: それは非常に有利な点だと考えています。特に日本は携帯電話キャリアに対するユーザーのロイヤリティーが高い。当社も既にこれを活用をしていますが、ソフトバンクユーザーであればPayPayボーナスが倍になるといったやり方をすれば、マーケティングセグメントもやりやすくなります。またソフトバンク側にとってはユーザーの引き留めにもなっています。つまりキャリアと共同マーケティングができるメリットは大きいのです。
また、携帯キャリアとしてのブランドのロイヤリティーを活用して、ヤフーは「ワイモバイル」、LINEは「LINEMO」いうモバイル事業を展開できています。ユーザーの囲い込みもしやすいのです。また、5GやIoTなど新しい技術は携帯会社主導で進歩していくので、これを(ソフトバンクから)いち早く教えてもらって新しいサービスの開発ができるのは、GAFAにもBAT(バイドゥ、アリババ、テンセント)にもないことです。
出澤氏: インターネットとキャリアの組み合わせは強力で、地の利があり、今後の戦いを有利に進めていけるのではないかと思います。
日常生活に欠かせない企業グループに
以上がインタビュー内容だ。Zホールディングスは、国内で200超のサービスを提供し、国内総利用者数は3億超、国内総クライアント数は約1500万、自治体との総連携案件数は3000超となり、グループ従業員は2万3000人にもなる。LINEとの統合により「情報」「決済」「コミュニケーション」という日常生活に欠かせない3つの起点を持つ企業グループとなった。
Zホールディングスの中核企業の1つであるヤフー(Yahoo! JAPAN)及びLINEを中心とした「検索・ポータル」「広告」「メッセンジャー」を「根幹領域」と定めて引き続き推進するとともに、特に社会課題が大きくインターネットで、その課題解決が見込める領域である「コマース」「ローカル・バーティカル」「Fintech(フィンテック)」「社会」の4つを「集中領域」と定め、集中的に取り組むとしている。
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