「御三家」の帝国ホテル、建て替えの決断 リッツ・カールトンやハイアットにどう立ち向かう?:外資VS.日系の顧客獲得合戦(2/4 ページ)
帝国ホテルが、主力の「帝国ホテル 東京」(東京都千代田区)を建て替える方針を固めたとの報道があった。その理由として本館の老朽化と、外資系高級ホテルへの対抗があるという。日系ホテルは外資系にどう立ち向かえばいいのだろうか。
再開発エリアと外資系ホテルの関係性
列挙した多くの外資系ホテルに共通した事柄として“再開発エリアとセット”という指摘ができる。近年、都心ではエリアの再開発が続いてきたが、それらエリアの複合施設、”ランドマーク”として外資系ホテルが開業することは多い。
ホテルの所有や経営、運営などといった形態についてはここで触れないが、例えば「虎ノ門ヒルズとアンダーズ 東京」「東京ミッドタウン×ザ・リッツ・カールトン東京」「汐留シオサイト×コンラッド東京」「コレド日本橋×マンダリン オリエンタル 東京」といった様に、再開発エリアに構える高層ビルにホテルを入居させることはもはや「セット」ともいえ、外資系ホテルチェーンの進出と都内各所の再開発エリアは切っても切り離せないものとなってきた。
その狙いは、外資系ホテルブランドの洗練されたイメージが、エリアのブランド力向上になること。また、そもそもホテルには人々を回遊させる効果も期待でき、来訪者の増加にもつながるといった点もあるだろう(専門的な部分ではビルの容積率緩和などの問題もある)。
外資系ホテルの増加と国際観光都市東京の発展は表裏一体ともいえるが、都心の地図を広げて注目ホテルの場所をマークしてみると、さながら“東京ホテルシーンの群雄割拠時代”とも表せるだろう。
外資VS.内資(日系) のし烈な顧客獲得合戦
外資系ホテルチェーンの強みの1つとして、その強固な会員プログラムもあり、海外からの送客(外国人客)が取り込みやすいことが指摘できる。
訪日外国人旅行者の需要が近年激増してきたことを前述したが、そうしたシーンにおいても外資系ホテルはその威力を発揮。内資ホテルは辛酸を嘗めさせられてきたことは多くの日系ホテル関係者の語る真実の1つだ。
外資に訪日外国人旅行者を奪取された日系ホテルも手をこまねいているだけではない。外資ブランドに負けないような設備やサービスのブラッシュアップを重ねる日系ホテルの存在も際立ってきた。
さらには外資系と手を組む例もある。日系のシティーホテルの代表格ともいえるプリンスホテルでは、最上級ブランド「ザ・プリンスギャラリー 東京紀尾井町」の開業に際して、外資系ホテルチェーン「スターウッド」(現マリオット・インターナショナル)の最上級カテゴリーである「ラグジュアリーコレクション」に加盟した。
東京オリンピックの決定も相まって、期せずして訪日外国人旅行者の激増というシーンに遭遇したホテル業界であるが、こうした例のように、続々と誕生する東京の高級ホテルシーンにおいては、日系と外資系のし烈な顧客獲得争いがうかがえた。
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