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コロナ禍でもボーナス支給 “伊豆の名店”に押し上げた「おか田」2代目店主の手腕「年に2回の小言の時間」(2/5 ページ)

静岡県南伊豆町にある飲食店「伊豆の味 おか田」。1985年創業の郷土割烹料理屋で、近海で取れたキンメダイを出す店として多くの観光客を受け入れている。2代目店主の岡田正司さんはお土産品の商品開発なども手掛け、時流の変化に果敢に対応しようとしている。どのようにして「おか田」を地元の名店に押し上げ、コロナ禍を乗り切っているのか。岡田さんが取材に応じ、その経営手法について語った。

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初の赤字、食中毒 逆境を糧に

――いろんな人の良さを信じて仕事を任せている。いわゆる「性善説」を実践され、大切にしているのだと思いますが、12年間やられていて嫌なこともあったと思います。

 実は今までで2回、ものすごい落ち込んだ時というか、考えさせられた時がありました。1つは、僕が跡を継いで、2年目か3年目に赤字になったんです。初めての赤字でした。これはすごくショックでした。

 逆に言うと、その赤字があったから数字というものをちゃんと見るようになった。1つのきっかけでしたね。それまでは成り行きでやっていて、気付いたら「あれ?」っていう感じで……赤字になっていました。このことがきっかけで、物の見方が変わったと実感しています。ちなみに原因は原価率の上昇を全く考えていなかったからなんです。原価率の変動を見ずに、出したい食事をお客さんに出していました(笑)。

――もう1つは何だったんでしょう。

 15年の9月にノロウイルスによる食中毒を出したことです。この時は赤字以上にへこみました。赤字の時はお客さんには迷惑を掛けていないですけど、この時はお客さんをはじめ、町全体に迷惑を掛けてしまいました。もうだめだな、とも思ったんですが、「辞めちゃだめだよ」って言う方が何人かいらっしゃって、声を掛けてくださった方々に恩返しするつもりで続けることにしました。

――ノロウイルスに悩まされた時期があったのですね。この時の経験が生きている点はありますか。

 まず手洗いは以前と比較にならないくらい徹底するようになりました。これは今でも変わらずに続けています。また、今でこそお客さんと接する客席でもマスクを着用させていただいておりますが、食中毒が起きて以降、調理場では常にマスクを着用するようになりました。これも、今に生きていると思います。

――今は少ないですが、コロナ禍の前はバスツアーがひっきりなしに訪れていたといいます。どのような賑わいぶりだったんでしょうか。

 3分の1ぐらいは団体のお客さんでしたね。個人の方でも、リピーターは1割弱いらっしゃいます。

――何がおか田の魅力なんでしょうか。

 来てくださった客さんを喜ばせるのが僕の最大の仕事だと考えています。お客さんが喜んでくれると、旅行業者の方も安心するんですよ。「おか田に入れとけば間違いない」となる。それで、特に業者の方に使っていただけているのだと考えています。

――顧客満足度をいかに上げるかということですよね。

 もちろん団体だけでなく、個人のフリーのお客さまでも満足してもらうことを大事にしています。満足度を上げれば、お客さんは喜んでくれるし、また帰ってきてくれるんですよ。

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