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ホリエモンが「修業は、まぎれもなく時間の浪費だ」と主張する真意堀江貴文が説く「経営者は非常識であれ」(1/2 ページ)

ホリエモンこと堀江貴文が考える「経営者に必要な能力」について語ってもらった。堀江は常に「修業はいらない」と主張している。その真意は?

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 あまたの事業を成功させてきた起業家、ホリエモンこと堀江貴文。時代の寵児(ちょうじ)といわれ、ITビジネスや宇宙事業など、それまでの常識を覆す手法で自らの構想や事業を実現してきた。ただ、初めからその背景に莫大な資金や、特殊な才能があったわけではない。 堀江自身が好きなことに没頭してきた結果、ビジネスが生まれていったのだ。

 起業家・堀江のメッセージは、いたってシンプルだ。

 あえてレールから外れよ。

 3歳児の気持ちで、のめり込め。

 常識とか世間体なんか、ぜんぶ無視だ!

 近刊『非常識に生きる』(小学館集英社プロダクション)では「自分の人生を取り戻す」ための、41の行動スキルを指南している。書籍の内容から、堀江が考える「経営者に必要な能力」について語ってもらった。


堀江貴文(ほりえ・たかふみ)1972年福岡県八女市生まれ。実業家。SNS media&consultingファウンダーおよびロケット開発事業を手掛けるインターステラテクノロジズのファウンダー。現在は宇宙関連事業、作家活動のほか、人気アプリのプロデュースなどの活動を幅広く展開。2019年5月4日にはインターステラテクノロジズ社のロケット「宇宙品質にシフト MOMO3号機(MOMO3号機)」が民間では日本初となる宇宙空間到達に成功した。著書に『ゼロからはじめる力 空想を現実化する僕らの方法』(SBクリエイティブ)、『非常識に生きる』(小学館集英社プロダクション)など

修業は避けろ! 考えながら急いで回れ

 僕は著書などで、「修業はいらない」と主張している。いくつもの事業を手掛けた後に、思ったことではない。子どもの頃から、同じような気持ちだった。

 修業は、まぎれもなく時間の浪費だ。寿司(すし)屋の修業を例に取ろう。昔の寿司職人の修業といえば、高校卒業か早ければ中卒で店に入り、皿洗いなど雑用を数年こなす。その後、焼き物を担当してまた数年。師匠から包丁さばきや、料理のノウハウを教わるようになるのに、気づいたら10年という流れが当たり前だった。

 独立できるのは、もう40代だ。そんな修業の時間は、完全に無駄遣いである。 

 おいしい寿司のつくり方は、YouTubeやレシピ動画で公開されている。見たまま数カ月も真似(まね)れば、数十年修業した腕前と変わらないレベルの寿司を握れる。

 短期で料理法を教えてくれる学校や料理教室も、たくさん運営されている。料理のスキル獲得は、ネットで見つけた動画の独学で十分だ。僕がそう言うと、古い料理界から激しく批判された。「長い修業を積んでこそ、料理人の真の腕は磨かれるのだ!」と。実際はどうだろう。寿司屋での修業は一切せずに、寿司学校で学んだ経験だけのオーナーが開店した寿司屋が、いまではミシュランに掲載されている。まったく料理経験のなかったオーナーがラーメン店を始め、大行列ができている例も少なくない。

 味と修業期間の長さは、比例しない。おいしい寿司を握るには、人生の貴重な時間を削り取らねばいけないという、悪い意味でのトレードオフな常識が、根強く固定化してしまっている。改善すべき、誤った常識だ。

 僕が育ってきたインターネットの世界は、まったく逆の開放的な世界だった。

 システムを構築している多数のプログラムは、オープンソースで公開されていた。それらを僕ら若いエンジニアが勝手に書き直し、バージョンアップしてビジネスに応用した。バグもセキュリティホールも、エンジニアたちが寄ってたかって改良した。

 職人の世界での「技」とか「秘伝」を、僕たち当時の若者が自由に共有できた。誰でも使えるから改良は早く、新しいプログラムや技術がものすごいスピードで次々につくられていった。インターネットは、開放と共有の整った世界だった。だからこそ、IT革命からの数年で、世界の隅々まで広がったのだ。


「長い修業を積んでこそ、料理人の真の腕は磨かれる」という言説は真実か(写真提供:ゲッティイメージズ)
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