人材不足を理由に、新規事業をストップしてはいけない:間違っていること(1/3 ページ)
適切な人材がいないせいで新事業創出の取り組みが迷走したり頓挫したりすることはよくあること。それでも、人材不足を理由に取り組みそのものに消極的になるのは間違っている可能性が高い。
日沖博道氏のプロフィール:
パスファインダーズ社長。30年にわたる戦略・業務コンサルティングの経験と実績を基に、新規事業・新市場進出を中心とした戦略策定と、「空回りしない」業務改革を支援。日本ユニシス、アーサー・D・リトル等出身。一橋大学経済学部、テキサス大学オースティン校経営大学院卒。日本BPM協会アドバイザー。
日本経済新聞社グループの日経BP総合研究所が2020年9月に実施した調査『コロナ禍における新事業・新技術に関するアンケート』のサマリー結果を見る機会が最近あった。
調査対象は日経BPのウェブメディア利用者1144人で、情報収集に対しまじめな人たちが多数を占めると言えそうだ。その調査結果の概要資料(『新事業の創出 待ったなし』(創見/SOU-KEN))は日経BP社にリクエストすれば(多分)誰でも入手できる。
いくつか「やはりそうか」という傾向が表れていたので、ここで2つほど紹介したい。
(1)元々「新事業創出に積極的な」企業ほど、コロナ禍の中でさらに積極的に
自社が新事業創出に積極的か否かを問う質問に対し、回答は「積極的」50.3%、「非積極的」49.7%とほぼ半々の割合である。これを「意外と多い」とみるのか、「半分しかいないのか」とみるのかは個々の人によって分かれるところだが、まぁ見事に半々に分かれたものだ。
そして「減益」または「売上・利益ともほぼ変わらない」企業は4割程度しか積極的でなく、逆に「増益」である企業は6割前後が新事業創出に積極的、という具合に傾向が明らかだ。要は、コロナ禍でも好調な企業は新事業に積極的に取り組む余裕もあるが、そうでない企業では既存事業を何とかするのに手一杯ということだろう。
面白いのは、自社は元々「新事業創出に積極的な企業」だという人の46.2%がコロナ禍の中で自社の新事業創出への取り組みが「より積極的になった」という回答を寄せていることだ。
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