なぜ京急で社員からの「内部告発」が相次いでいるのか:スピン経済の歩き方(6/6 ページ)
「京急愛」なんて言葉もあるほど、多くの鉄道ファンから慕われている「京急電鉄」。その京急に対して、内部告発記事が続いている。その背景に何があるのか。筆者の窪田氏は……。
内部告発が活発に
もちろん、事実かどうかは定かではないし、こんな青写真が実際にあったとしてもコロナで全て吹き飛んでしまったはずだ。ただ、いずれにせよ、このような話がまことしやかに語られるほど、永田町では菅氏と京急は「コンビ」として考えられていたということだ。
東北新社、NTT、JRなど、菅氏と距離が近いと言われる企業のスキャンダルが次々と発覚している。
菅氏の自己破産した実弟は、JRの子会社に幹部として就職を果たした。ロン毛の長男は東北新社で異例の出世を果たして、大臣秘書官時代のコネを使って、総務官僚を接待していた。そして4月1日号の文春では、菅氏自身もJR横浜駅構内の好立地物件で営業する飲食店の大株主だった過去があり、その会社から770万円の献金を受けていたことも明らかになった。
「既得権益を打破」なんてかっこいいことを言っていた菅総理が、実はゴリゴリの「既得権益おじさん」だったことがバレたことで今、さまざまな内部告発が活発に寄せられている。文春や新潮などの週刊誌にはきっと「東北新社なんて比じゃない、もっとすごいネタがありますよ」という情報が提供されているはずだ。
そのような内部告発の中に、菅総理を地元・横浜で20年支え続けて、「横浜カジノ」を推し進めていた京急が入っていてもおかしくはない。ましてや今、この会社では現場から本社の「古い考え方」に対してこれだけの不満が出ているのだ。
東北新社とNTTという総務省の利権に連なる企業を導入にして、いよいよ菅総理の力の源流である鉄道利権まで追及を始めた文春砲。地元横浜の「菅系鉄道会社」が俎上(そじょう)に上がるまであと一歩だと感じるのは、筆者だけだろうか。
窪田順生氏のプロフィール:
テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで300件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。
近著に愛国報道の問題点を検証した『「愛国」という名の亡国論 「日本人すごい」が日本をダメにする』(さくら舎)。このほか、本連載の人気記事をまとめた『バカ売れ法則大全』(共著/SBクリエイティブ)、『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。
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