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赤字企業・JR東海の反転攻勢策と「東海道新幹線不要論」縮む需要を膨らませ(2/3 ページ)

「Beforeコロナ」の2019年度、営業収益1兆8446億円、純利益3978億円を稼ぎ、優良企業の代名詞でもあったJR東海の黒字を、コロナはいとも簡単に吹き飛ばし、2000億円を超える最終赤字に転落させた。そこからどんな反転攻勢を仕掛けたのか――。キーワードは「観光」だ。

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次なる一手はワンコインレンタカー

 21年に入ってからは、JR東日本と手を組み「伊豆・箱根・湯河原 湯どき花どきキャンペーン」を展開した。JR東海とJR東日本がコラボするキャンペーンは珍しく話題となった。

 続けて3月31日には新たな観光キャンペーン「いい旅、沸いてます。〜伊豆・熱海・箱根〜」をリリースしている。対象旅行商品に500円を追加すればレンタカーを利用できる「ワンコインレンタカー」を目玉に据えた。

 JR東日本とのキャンペーンを含め、同じく伊豆、箱根エリアが舞台となる。これはコロナ感染者が相対的に多い東京への観光を忌避する動きを捉え、伊豆、箱根エリアを新たにターゲット地域とした戦略が浮かび上がる。コロナ禍で各社が赤字となる中、命運をかけて文字通りの「反転攻勢」を仕掛けているのだ。

 国内有数の温泉地として知られる伊豆、箱根エリアには、富士山、堂ヶ島、大室山、大涌谷、ヒリゾ浜などの絶景コンテンツや、金目鯛、伊勢海老、アワビなどの海の幸、彫刻の森美術館、箱根ガラスの森美術館、怪しい少年少女博物館などのアートをはじめ、観光コンテンツが数多ある。こうした見どころを効率的に回ることができるよう「ワンコインレンタカー」を設定。旅の満足度を向上させてリピーター化を狙う方策が垣間見える。


名店「伊豆の味おか田」では金目鯛料理を提供している(以下提供:JR東海)

「「いい旅、沸いてます。〜伊豆・熱海・箱根〜」CP画像

 東海道新幹線はビジネスシーンで多く利用されているイメージが強い。一方で、「そうだ 京都、行こう。」「うましうるわし奈良」に代表されるように、実は観光キャンペーンはJR東海がもっとも得意とするところだ。ビジネス需要が減り、観光需要が相対的に重要性を増す中、「特技」である観光キャンペーンを仕掛けて需要を創出している。

 3月にはずらし旅の伝道師である公式キャラクター「ずらしmado(マドゥ)」も登場した。ユルめの投稿や新幹線カラーの自転車プレゼントキャンペーンなどを実施して話題を集めている「ずらし旅」公式Twitterを含め、堅いイメージのあるJR東海らしからぬ打ち出しが目立つ。


「3月に登場したずらし旅の公式キャラクター「ずらしmado(マドゥ)」

ずらし旅キャンペーンでは自転車に注目。ドコモの子会社であるドコモ・バイクシェアとコラボレーションして新幹線自転車のプレゼントキャンペーンを実施した

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