2015年7月27日以前の記事
検索
ニュース

赤字企業・JR東海の反転攻勢策と「東海道新幹線不要論」縮む需要を膨らませ(3/3 ページ)

「Beforeコロナ」の2019年度、営業収益1兆8446億円、純利益3978億円を稼ぎ、優良企業の代名詞でもあったJR東海の黒字を、コロナはいとも簡単に吹き飛ばし、2000億円を超える最終赤字に転落させた。そこからどんな反転攻勢を仕掛けたのか――。キーワードは「観光」だ。

Share
Tweet
LINE
Hatena
-
前のページへ |       

ビジネス需要は回復するのか

 新型コロナウイルス感染症の「終息」はまだ見えず、ビジネス需要の将来はまだ見通すことができない。もっとも、オンライン会議の一般化による「対面打ち合わせ不要論」に端を発する「東海道新幹線不要論」については、懐疑的な見方が多い。歴史を遡れば、2000年代はじめ、インターネットの発展により対面での打ち合わせが激減し、東海道新幹線の需要は次第に減っていくと予想されていた。

 08年、日本でiPhoneが初めて販売されて以後、「一人一台スマホ時代」が到来し、いつでもどこでも誰とでも会議が可能となったものの、東海道新幹線の需要はリーマンショック後の一時期を除いて増加の一途を辿った。インターネットの発展は、対面での打ち合わせを減らす方向ではなく、人と人との結び付きを強め、対面で会う機会を増やす結果となった。

 「afterコロナ」では、beforeコロナに比べて、テレワークやオンライン会議が増加するとみられる一方、人の行動様式は極端には変わらないだろう。コロナによって対面での打ち合わせがほぼなくなり、長距離移動の需要が激減するという見立ては極論に近しい。だが一方で、コロナは鉄道・航空各社に大きな影響を与えた。その中で、今後も何らかの施策を打っていかなければならないだろう。

 感染症はいつかは終息を迎えるものの、まだまだ落ち着く気配はない。コロナ流行後、次々と機動的な動きを見せ、第3四半期黒字化達成など復活の萌芽を見せるJR東海の「生き残り戦略」は成功するか。


JR東海の金子慎社長
前のページへ |       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る