カフェチェーン「プロント」はなぜ“新しく”なったのか 月と太陽が離れた意味:週末に「へえ」な話(1/3 ページ)
カフェチェーン「プロント」が4月、リブランディングした。とはいっても全店ではなく、5月末までに60店を新しくするという。「カフェ&バー」を掲げてきたプロントは、どのように生まれ変わったのか。現地を取材したところ……。
いきなりだが、カフェチェーン「プロント」(運営:プロントコーポレーション)のシンボルマークを思い出せるだろうか。「うーん、緑色の看板に『PRONTO』と書いているはずだけれど、マークまでは覚えていないや」という人も多いかもしれない。月と太陽が重なっていて、同社では「月と太陽のダンス」と名付けている。このマークは2001年から使い続けているが、4月10日に月と太陽を離したデザインの店が登場した。「PRONTO 銀座コリドー店」である。
プロントの店内といえば、照明を暗くして、いわゆる“ムーディー”な雰囲気が漂っているところが多いが、この店は違う。照明は明るくしていて、イマドキカフェの香りがプンプンしている。メニューを見ると、サンフランシスコにある行列ができるカフェで提供している「抹茶バスクチーズケーキ」がある。
ちなみに、このチーズケーキは日本初上陸なので、スイーツ好きにとってたまらない一品を用意している。このほかにも季節限定商品を提供するなど、月と太陽が重なっている店で目にすることができないメニューがズラリと並んでいた。
一方の夜はどうか。筆者が取材したのは午後3時だったので、残念ながらビールを注文することはできなかった。が、しかし、である。メニューを見て「仕事を終えたサラリーマンの胃袋をわしづかみにするのでは」と感じられたのだ。定番のビール、ハイボール、カクテルなどのほかに、洋酒を使った「ザ・ニューサワー」(528円)も用意。食事は「タコサンウインナー」(539円〜)、「チューリップ唐揚げ」(1本165円)など、大衆的なモノばかり。
メニューのフォントも、どこか昭和っぽい。「昔の酒場って、こんな感じだったんだろうなあ」とふけっていたら、新プロントを立ち上げた責任者、片山義一取締役が登場した。ネーミングが気になったので、聞いたところ「昼は喫茶、夜は酒場。この二文字をくっつけて、夜の業態を『キッサカバ』と呼ぶことにしました」
うっ、ちょっとダジャレ感が漂うネーミングだが、仕事が終わったサラリーマンが「ちょっと一杯」といったときに、心地良さを感じる空間になるのかもしれない。それにしても、なぜ新しいプロントを立ち上げようと思ったのか。片山さんにその理由を聞いたところ、次ような答えが返ってきた。
「プロントは2010年前後をピークに、売り上げが伸び悩んでいまして。『なんとかせねば……』と考えていたわけですが、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、『リブランディングしなければいけない』と強く思うようになりました」という。どういうことか。
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