配達員トラブル多発のウーバーが、「不祥事相次ぐセブン」と妙に重なるワケ:スピン経済の歩き方(5/5 ページ)
街中でちょいちょいトラブルを起こしているウーバーイーツに、「ルール整備」を求める声があがっている。配達員の危険運転が問題になっているわけだが、筆者の窪田氏は「ウーバーとセブン-イレブンは同じ匂いをしている」という。どういう意味かといと……。
ルールの整備が必要
ウーバー最高経営責任者であるダラ・コスロシャヒ氏は、「人や物の動きを担う企業であるウーバーの目標は、物理的にも、経済的にも、社会的にも、誰もが自由で安全に移動できるようにすることです」(公式Webサイト)とおっしゃっている。
もし本当にこの「目標」を大切に思っているのなら、多くのトラブルの遠因となっている「配達パートナーは個人事業主」という従来の方針は見直さざるを得ないのではないか。
ビジネスモデルというのは「時代の変化」を無視して、ガンコに執着してもロクなことにならない。人口が右肩上がりで増えていた時代に登場した、コンビニの拡大路線やドミナント戦略を、人口が急速に減っている今、かたくなに続けてもいい結果を招いていないのがその証左である。
それと同じで、ウーバーの「配達パートナーは個人事業主」というビジネスモデルも、フードテリバリーサービスがここまで急速に普及した今、時代に合わせた形に変えていく必要があるのではないか。ウーバージャパンには、法律論などに執着することなく、ぜひとも自社の「目標」に沿う形の柔軟な対応をお願いしたい。
窪田順生氏のプロフィール:
テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで300件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。
近著に愛国報道の問題点を検証した『「愛国」という名の亡国論 「日本人すごい」が日本をダメにする』(さくら舎)。このほか、本連載の人気記事をまとめた『バカ売れ法則大全』(共著/SBクリエイティブ)、『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。
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