1000店→150店に! なぜマクドナルドはウォルマートから“離れている”のか:両社の関係が崩れ(4/4 ページ)
米国のウォルマート店内に、マクドナルドはたくさんの店舗を構えてきたが、いまビジネスの転換期を迎えているようだ。ピーク時には1000店ほどあったが、今年の夏には150店に。なぜマクドナルドはウォルマートから離れているのか。その背景に……。
次なる成功に向けて
ドライブスルーでのサービス向上には、「早さ」と「正確さ」が求められるため、近年マクドナルドは音声認識やAI(人工知能)技術をもつ企業を買収するなどして、業務改善に努めている。
特に、注文を受けてから商品を提供するまでにかかる時間の長さは、極めて重要なポイントになる。オーダーをさばく時間を短縮できれば、より多くの注文に対応できるため、ドライブスルーを利用するクルマの流れもスムーズになる。これまで待ち時間が長くて、途中でドライブスルーの利用を諦めていた顧客の取りこぼしも改善できるはずだ。
そのため、マクドナルドではメニューを絞ってシンプルにしたり、ドライブスルー用のタイマーをスタッフ用に導入したり、キッチン設備を改善して従業員の負担を減らし、サービス提供までの時間を大幅に縮めている。
そのほかにも、AI技術を取り入れた「デジタルメニューボード」を設置し、天気や時間帯、人気商品や季節ごとのプロモーションなどを自動的に表示させて、顧客が注文しそうなメニューをカスタマイズして提案している。
また、AI技術を使うメリットは、ピーク時にキッチンのオペレーションをスムーズにする商品をメニューボードで客に提案したり、プログラムの方法によってはアップセリング(より高額な商品を売る)したり、効果的に適用できるという。
気が付けば、ここでも最新技術を使ったデジタル化が着々と進んでいるようだ。ただし、マクドナルドが目指しているのは、食に癒しを求める顧客に応えることだ。一般的にはヘルシーではないが、馴染みのあるハンバーガーやポテトは、コロナ禍でコンフォートフード(食べた者に郷愁を呼び起こす食品)として必要とされている。
コロナ禍で「離別」が決定的になったかのように見えるウォルマートとマクドナルド。どちらもデジタル化を進めたり、ビジネスの多様化を進めている。コロナ禍で生まれた新たな時代のなかで、両者はそれぞれに、次なる成功に向けて前進しているようである。
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