市場は伸びていないのに、なぜ日本企業は「ムチャな数値目標」を掲げるのか:スピン経済の歩き方(6/6 ページ)
仕事の目標を設定する際、「ムチャな数値だなあ」と感じたことがある人も多いのでは。そんな「ブラック企業カルチャー」が広がりつつあるのではないか、と感じさせられる動きがある。どういうことかというと……。
科学的根拠のない「精神主義」から脱すべき
日本政府や日本企業が、苦しいときにこそ「現実と乖離したムチャな目標」を掲げるのは、米国から持ち込まれた「ストレッチ目標」でもなんでなく、われわれ日本人がいまだに無意識に、全体主義に陥っていたあの時代の感覚を引きずり続けているからだ。
おそらく日本政府の暴走も行き着くところまでいってしまう。多くの犠牲者が出てようやく敗戦を決断できたように、すさまじい数の「経済死する犠牲者」が出てようやく、今の根性論的なコロナ対策を見直しますか、という議論が出始めるのだろう。民間企業はそれを踏まえて「自己防衛」をするしかないのが、今の日本の現実だ。
先の戦争で被害を拡大したのは、「お上の言っていることは正しいのだから従わないと」という右へならへの同調圧力だ。このような歴史の教訓を真摯(しんし)に学び、今こそビジネスパーソンは科学的根拠のない「精神主義」から脱すべきではないか。
窪田順生氏のプロフィール:
テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで300件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。
近著に愛国報道の問題点を検証した『「愛国」という名の亡国論 「日本人すごい」が日本をダメにする』(さくら舎)。このほか、本連載の人気記事をまとめた『バカ売れ法則大全』(共著/SBクリエイティブ)、『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。
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