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米国で“巨額バラマキ”が行われても、日本では「難しい」理由“いま”が分かるビジネス塾(4/4 ページ)

米バイデン政権が、巨額の財政出動を次々と繰り出している。日本に当てはめれば、約160兆円。大盤振る舞いをしている米国の財政は大丈夫なのか。一方、日本でも同じようなことができるのか。

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 国内では「政府はいくら国民から借金しても破綻しない!」という勇ましい意見をよく耳にするが、市場関係者や政府関係者の中で、日本政府が破綻すると考えている人はほぼゼロである。過度な政府債務に警鐘を鳴らしている専門家のほとんどは、金利が上がったときに対処できなくなる事態を危惧しているのであって、政府の破綻など誰も問題視していない(つまり、「緊縮財政ガー」と連呼している人は完全に論点を見誤っている)。

 米国は普段から財政赤字に厳しく、世論として政府の借金を許さない雰囲気が強い。日本とは正反対だが、今回のような非常事態においては、これが大きな効果を発揮している。日本は平時には国債増発が強く叫ばれるが、今回のような非常事態になると、突然、政府は財政出動に消極的になってしまう。国民も普段はあれほど国債増発を叫んでいるのに、現政権の消極的な対応に激しくノーを突きつける雰囲気は感じられない。

 結局のところ、可能な範囲でしか財政出動はできないし、多くの国民はそれを何となく理解している。「仕方ない」と諦めてしまっているのが、今の日本の現状ではないだろうか。

加谷珪一(かや けいいち/経済評論家)

 仙台市生まれ。東北大学工学部原子核工学科卒業後、日経BP社に記者として入社。

 野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当。独立後は、中央省庁や政府系金融機関など対するコンサルティング業務に従事。現在は、経済、金融、ビジネス、ITなど多方面の分野で執筆活動を行っている。著書に「貧乏国ニッポン」(幻冬舎新書)、「億万長者への道は経済学に書いてある」(クロスメディア・パブリッシング)、「感じる経済学」(SBクリエイティブ)、「ポスト新産業革命」(CCCメディアハウス)などがある。


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