トヨタ自動車が5月12日に発表した2021年3月期(20年4月〜21年3月)通期の連結決算は、純利益が前期比10.3%増の2兆2452億円と、2兆円の大台を突破した。新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、上期は販売台数が大きく落ち込んだが、下期で巻き返した。
販売台数(トヨタ・レクサス)は、前期比96.0%の908万台。売上高に相当する営業収益は8.9%減の27兆2145億円、営業利益は8.4%減の2兆1977億円だった。コロナ禍で先行きが不透明だった20年5月時点では、販売台数800万台、営業利益5000億円の見通しを掲げていたが、結果として目標を上回り、高い利益率を達成した。
同社の近健太執行役員は、「リーマンショックから取り組んできた、固定費を含む総原価改善によって、損益分岐台数をしっかりと落とせてきた」と好調の要因を説明。加えて「サプライチェーンについても東日本大震災以降、サプライヤーと減災に向けた取り組み、在庫の保有、代替品の評価の効率化など、ずっと努力してきた」と強調する。
「3カ月前の決算発表で、私は『当たり前のことを当たり前のように』と申し上げた。以降も東北では地震、仕入れ先でも火災が発生し、業績に影響が出てもおかしくなかった。乗り越えられたのは、これまでの取り組みの成果によるものだ」(同氏)
22年3月期は、営業収益が前期比10.2%増の30兆円、営業利益が13.8%増の2兆5000億円、純利益が2.4%増の2兆3000億円を見込む。近執行役員は「販売台数が大きく回復するだろう」と予想する。加えて、前期に取り組んだ改善、働き方改革などを「いかに定着させられるか、正念場だ」と力を込める。「この見通しを達成し、将来的に損益分岐を下げ、投資余力を生むためにも、過去1年にできたことを定着させることが重要だ」という。
「損益分岐台数は、為替変動や市況状況にもよるが、原価改善を続け、しっかり販売していくことが重要だ。特に、お客さまに買っていただいた後、保有車のビジネスを強化する。補給部品や中古車の事業、ソフトウェアアップデートなど、いわゆる途中での収益獲得、バリューチェーンでの収益向上も含め、損益分岐台数を長期的に引き下げたい」(同氏)
関連記事
- トヨタがいよいよEVと自動運転 ライバルたちを一気に抜き去るのか、それとも?
トヨタは最新の運転支援技術を採用した新機能「Advanced Drive」をレクサスLSとMIRAIに搭載。さらに、先日の上海モーターショーでは新しいEVを発表した。そして驚いたのは、トヨタが今さら水素エンジンにまで触手を伸ばしてきたことだ。 - トヨタ豊田章男氏の主張は、我が身可愛さの行動なのか?
電動化=脱エンジンなのか? それとも、日本の産業構造を一気に変えるようなことができるのだろうか。たしかに今ここで日本の産業構造を変えなければ、かつての半導体の二の舞いになる。そこで自動車産業を日本の基幹産業として存続させるためには何が必要なのか、ここで考えてみたい。 - 内燃機関から撤退? そんな説明でいいのかホンダ
ホンダは新目標を大きく2つに絞った。一つは「ホンダの二輪・四輪車が関与する交通事故死者ゼロ」であり、もう一つは「全製品、企業活動を通じたカーボンニュートラル」。そして何より素晴らしいのは、その年限を2050年と明確に定めたことだ。ホンダは得意の2モーターHVである「e:HEV」を含め、全ての内燃機関から完全卒業し、EVとFCV以外を生産しない、世界で最も環境適応の進んだ会社へと意思を持って進もうとしている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.