退職金4000万円上乗せ! パナの「50代狙い撃ちリストラ」は“正解”なのか:スピン経済の歩き方(4/6 ページ)
パナソニックが「50代社員」を対象に、大規模なリストラに踏み切る――。ダイヤモンド編集部が同社の内部資料を入手して報じたわけだが、“働かないおじさん”をターゲットにしたことは吉と出るのだろうか。長い目で見ると……。
旧ソ連の「計画経済」に憧れ
「終身雇用」という制度において、退職金が非常に大きな役割を果たしていることは説明の必要がないだろう。新卒から30代くらいまでは薄給でも、50代から高給になって定年時の退職金でガッポリもらえる「報酬の後払い」が、終身雇用というシステムを機能させてきたのだ。
しかし、今見たように、中小企業にはその退職金がない会社もある。あったとしてもパナソニックのような大企業とは比べ物にならないほど少ない。そんな中小企業で労働者の7割弱が働いているこの国で、「終身雇用は日本文化」と言えるのか。労働者の中で転職を繰り返している人がかなりボリュームを占めているこの国で、「終身雇用のおかげで技術力が磨かれた」というのは事実なのか。
ぶっちゃけ、かなり眉唾な話だと思わないか。
さて、そこで皆さんが気になるのは、「だったらなぜ日本人は終身雇用が日本の強みというストーリーを無条件に信じ込んだのか」だ。
これには、いろいろな意見があるだろう。「日本が欧米と比べものにならないほどコロナ患者が少ないのは、要請だけでも自粛やマスク着用に従う日本人の生真面目さのおかげだ!」という戦時中のタケヤリ理論をほうふつさせる精神論がいまだに政府やマスコミが唱えていることからも分かるように、日本人は「根性」「気合」で困難を乗り越えるストーリーが大好物だ。
また、大坂なおみさんが活躍すると「日本のテニスは世界レベル」などと騒ぐように、一部の人の功績を日本全体の功績にすり替える悪いクセもある。このような国民性が、一部大企業のシステムを「日本文化」だと誤解させた可能性もあるのだ。
ただ、筆者はそれだけではなく、日本の戦後経済を牽引した人たちが抱いた、旧ソ連の「計画経済」への強い憧れも大きいのではないかと思っている。
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