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りそなHD南昌宏社長が語る「銀行の枠を超えるための組織改革」 異業種から人財を積極採用りそなHD南昌宏社長インタビュー【後編】(2/4 ページ)

りそなホールディングスがDXを積極的に導入して銀行改革を大胆に進めている。南昌宏りそなHD社長のインタビューをもとに、りそながデジタル時代を先導してどこに向かおうとしているのかをお届けする。後編では、5年後、10年後のりそな銀行の姿を探っていく。

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外の知見と融合

 南社長はさらに「アジャイルと呼ばれる機動的な開発手法により、グループアプリが導入されてから3年半の間に800カ所以上も修正が加えられている」と明かす。大手銀行のトップから「アジャイル」というITの専門家が使うような単語も飛び出した。「アジャイル」とは、仕様の変更要求などに素早く対応することだ。変化の激しい銀行業界では、俊敏に対応できなければ、導入したシステム、アプリが使い物にならない表れだ。

 「社内教育も加速しているが、今の時点で勝負しているのは、外の高度な知見と融合することで、この分野のりそなとしての組織能力を短い期間でいかに上げるかが非常に重要なポイントだ。外部の優れた人材を使ってどんどんと変化させ、その文化を組織の中にも根付かせていきたい。そのことが、結果としてフェース・トゥ・フェースのリアルサイドの価値の引き上げになる。もう一つはデータをいかにマネタイズしていくかもポイントだ」と述べ、外部人材の活用が銀行員の意識を大きく変えることに期待している。

 中期経営計画では「3年後には全員コンサルティング体制へ」を掲げている。これまでの金融機関の基本業務だった、預金を集めてきて、個人や企業に貸し付ける金融仲介機能だけでなく、顧客との高頻度、広範囲のデジタルデータとリアルとの融合により、新たな気付き、タイムリーな交渉機会、コミュニケーションの進化ができるとしている。

「りそなガレージ」

 新規ビジネスを見つけ出すために、既に具体的な方策が実践されていた。本店ビルの隣にあるビルの1フロアの入り口を入ると、「Resona Garage(りそなガレージ)」という看板が掛けられている。

 中期経営計画で掲げているビジネスモデル・経営基盤の次世代化に向けた取り組みを加速させるため、オープン・イノベーション共創拠点として南社長肝いりで20年の9月に創設された。

 銀行の枠組みを超えた新しい価値を創造するための場で、チームラボ、日本IBM、トランスコスモスなどネット・IT業界の最先端で活躍している内外の若手社員合計約120人が勤務している。ここでは、りそなのシステムをサポートすると同時に、銀行員の頭の中にはなかった斬新なアイデアのよる新しいビジネスの芽を見つけようとしている。

 「ガレージ」の内部を見学させてもらったが、服装は自由でネクタイをしている人は誰もいない。もちろんタイムレコーダーなどはない。カフェやソファも配置してあり、少人数によるホワイトボードで会議しているチームもあれば、一人で黙々とPCに向かっている人もいて、自由に仕事をしている雰囲気だった。

 チームラボは猪子寿之社長率いるウルトラテクノロジー集団として有名で、多くの分野で先鋭的なソリューションを提供してきている。堅いイメージの大手銀行が、デジタル分野のフロントランナーのチームラボなどの知恵まで借りて改革を進めている姿には「目から鱗(うろこ)」だった。


りそなガレージ

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