キユーピーの「ゆでたまご」が、なぜ“倍々ゲーム”のように売れているのか:週末に「へえ」な話(1/4 ページ)
キユーピーが販売している「そのままパクっと食べられる ゆでたまご」が売れている。食べことも、見たことも、聞いたこともない人が多いかもしれないが、データを見る限り、消費者から人気を集めているのだ。なぜ売れているのかというと……。
2021年のヒット商品ランキングに「ゆでたまご」がランクインする――。このように感じるほど、ものすごい勢いで伸びている商品がある。キユーピー(東京都渋谷区)が販売している「そのままパクっと食べられる ゆでたまご」(実勢価格88円)だ。
「はあ? そんな商品、食べたことも見たことも聞いたこともないよ」と思われたかもしれないが、ここ数カ月倍々ゲームのように販売数が伸びているのだ。
同社が「ゆでたまご」を販売したのは、20年4月のこと。スーパーやコンビニで販売したところ、月3000個ほど売れた。設備投資などのこともあって、最初はスモールスタートだったものの、販売データをみるとリピーターが増えていることがうかがえたので、同社の担当者は「これはいける!」と判断したそうだ。
当初、パッケージに貼ってあるシールは、人の手でペタペタ貼っていたが、「このままでは増産できない」と考え、その年の秋に設備を増強。月間10万個をつくれる体制を構築してからは、販売数は右肩上がり。21年1月に1万個を超え、3月には2万個を軽々と超え、4月には5万個、5月には10万個に達したのだ。
それにしても、なぜ「ゆでたまご」なのか。
袋に詰められているたまごを取り出すと、商品名の通り「そのままパクっと食べられる」。殻がむいてある半熟たまごで、一口かじると、ほんのり塩味が伝わってくる。そのまま食べることができるし、主食やサラダと一緒にも合うし、ラーメンのトッピングとして楽しむ人も多そうだ。
開発の経緯について、キユーピーの藤原かおりさん(新規市場開発室・室長)に聞いたところ「当社のたまご事業の売り上げは856億円(2020年度)ほど。その内訳をみると、ほぼ業務用なんですよね。例えば、コンビニでのオムライス、ラーメンのトッピングなどに使われていまして。事業規模は大きいので、コンシューマー向けにもニーズがあるのではないかと考え、開発を進めました」とのこと。
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