仕事の喜びとは自分という「器」づくり:「分けてあげたい」心(1/2 ページ)
働くことを通して、自分という「器」をこしらえる。そして「器」を満たす。さらには、満たしたものを他に分けてあげる。これらの作業プロセス自体が「仕事の喜び」といえるのではないでしょうか。
著者プロフィール:村山昇(むらやま・のぼる)
キャリア・ポートレート コンサルティング代表。企業・団体の従業員・職員を対象に「プロフェッショナルシップ研修」(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)を行なう。「キャリアの自画像(ポートレート)」を描くマネジメントツールや「レゴブロック」を用いたゲーム研修、就労観の傾向性診断「キャリアMQ」をコア商品とする。プロ論・キャリア論を教えるのではなく、「働くこと・仕事の本質」を理解させ、腹底にジーンと効くプログラムを志向している。
「成長」とは何かを定義せよと問われたら、あなたはどう定義するでしょう。私の定義のひとつは「成長とは自分を3方向に伸ばすこと───広げる・高める・深める」です。
自分を3方向に伸ばすことで、自分という「器」が大きくなります。仕事というのはその取り組みを通して、自分を広げてくれたり、高めてくれたり、深めたりしてくれますから、まさに自分という「器」づくりをする恰好の機会といえます。
そして「器」に何を満たしていくか
私たちは学校に入ってまず、ひらがな・カタカナを覚えます。そして掛け算の九九を暗記します。そうやって知識や技術といったものを自分に蓄えていきます。蓄えるとは、自分という「器」を満たしていくことです。
私たちのまわりには「あの人は引き出しが多いね」と言われる人がいます。直面する状況に合わせて過去の成功法をいろいろ持ち出してきてくれたり、突破の手がかりとなる人脈を紹介してくれたり。相談を持ちかけても、あの手この手の助言を経験から教えてくれたり。そうした引き出しの多い人は、実は背後に持っている「資産ストック(蓄積)の器」が豊かだといえます。
では「資産ストックの器」を豊かにするとは具体的にどういうことでしょう。能力的資産の観点からは、「情報を集める」「知識を覚える」「技術を積む」「経験・知恵を蓄える」といったことでしょう。また、物的資産として「財貨を貯める」。人的資産としては「人脈を築く」「信頼を重ねる」があげられます。さらに心的資産としては「意志を保つ」「品性・徳を湛える」です。
私たち一個一個は生物的に生きる動物です。その動物が、かけがえのない一人の人間になるために、自分という器に何を満たしていくか。これは生涯にわたる大きな挑戦です。
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