20代会社員、「仕事観がない」が6割 「指示待ち派」は4割も:若手育成のために企業がやるべきこととは
20代で自分の仕事観を明確に語れる人はどれくらいいるのだろうか?日々の仕事をこなすだけで精一杯という人も多いだろう。その実態を浮き彫りにする調査結果が出た。「仕事観を持っていない」と回答した割合が6割にのぼったのだ。その理由は? 若手社員に活躍してもらうために企業がすべきことは?
社員研修や組織開発などを手掛けるリ・カレント(東京都新宿区)が「若手意識調査」を実施した。調査によると、「仕事観を明確に持たない」と回答した若手社員の割合が約6割に上ったことが分かった。
自分の仕事観(自分は何のために働くのか、仕事において譲れないもの・価値観)を持っているか尋ねたところ、「誰かに語れる明確な形で持っている」と回答したのは約1割にとどまった。「持っていない」「考えたことはあるが固まっていない」が合計で56.7%と半数以上を占めた。
仕事観を「持っていない」「固まっていない」と回答した理由(複数回答)で最も多いのは「仕事観とは何かそもそもわからない」(45.7%)だった。次いで「自身にとっての仕事観を考える機会がない/なかった」(25.9%)、「考える必要性を感じていない/いなかった」(25.2%)の順となった。
入社や転職、部署異動など新しい環境で業務を始める際の仕事のスタイルについては「失敗は気になるが、やりながら学ぶ」が42.4%で最も高かった。「上司の指示のもとで動く」と回答したのは42.2%だった。積極的に仕事を取りに行く派と指示待ち派で結果が分かれた。指示待ち派の理由としては、「自分の失敗にがっかりし傷つくから」「上司や周囲に叱責されるから」といった失敗を恐れる回答が目立った。
仕事観の有無を軸として、新しい環境での仕事のスタイルを分類したところ、「明確な形で仕事観を持っている」と回答した人の47.9%が「失敗は気にせず、まずはやってみる」という前向きな答えだった。一方、「持っていない」とした回答者の多くが上司からの指示待ちスタイルを選んでいた。仕事観を持っている人からは挑戦傾向が見られた一方、指示待ち派は受け身がちに過ごしていることが読み取れる。
調査から「何のために働くのか」を見いだせずにいる20代が多いことが明らかになった。若手社員が活躍する土壌を作るためには、「働く理由」や「どのように働きたいか」を問い直し、言語化する支援を企業が進めていく必要があるだろう。
調査は5月にインターネットで実施。東京在住の20代会社員1300人を対象とした。
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