広告業界の風雲児、GO三浦崇宏さんに聞く「若手社員と信頼を築くためのマネジメント術」:『「何者」かになりたい 自分のストーリーを生きる』【前編】(3/5 ページ)
コロナ以前から新卒の離職率3割は問題となっていて、リモートワークの普及によりさらにマネジメントが難しい時代となった。創業5年目ながら業界にインパクトを与えている広告・事業会社がThe Breakthrough Company GOだ。同社の代表取締役で PR・クリエイティブディレクターの三浦崇宏さんに若者のモチベートやマネジメント方法について聞いた。
権力を武器にした暴力
――対面でのコミュニケーションが減ったコロナ禍で意識することはありますか?
リモートワークが進むとマネジメントはより難しくなります。言葉は思っている以上にウソをつくからです。例えば若いメンバーに「このプロジェクトは君に任せるから頑張ってくれ」と上司が言います。すると大抵どの人も「はい、頑張ります!!」と言うんですよね。
でも、それが本心から出た言葉だと言い切れるでしょうか。当人は、本当は嫌だと思っているかもしれない。対面すると目の動きや体の動きで本心が分かる部分もありますが、リモートだと細かなところまでは分からない。だからこそ、「発言だけでは真意をくみ取ることはできない」とマネジャー層は認識しないといけません。私たちは対面しているとき、言葉以外の情報も受け取って総合的に相手のことを判断していたのです。
よって上司は、部下に任せたプロジェクトが失敗したとき、「あのとき頑張るって言ったじゃん!」と責めてはいけません。これは権力を武器にした暴力だと思っています。本当に頑張ろうと思っていたもののタスクがオーバーな状態だったのか、それとも初めからそこまで頑張るつもりはなかったのか。そこを見極めてマネジメントすることが必要です。
上から頑張れと言われたら若者は「頑張ります」と言うし、大丈夫かと聞かれたら「大丈夫です」と、どの人も言ってしまいますよね。だからこそ相手の気持ちや立場まで考慮する必要があります。
――ただリモート下では、部下の心を気遣うのはなかなか難しいですよね。
確かにリモートだと何かを指摘した後のフォローが難しくなりました。例えば会議中に「その企画で君は本当に考え尽くしたのか?」などと厳しい言い方をしないといけない場面があります。リアルな場面では、個別に「あのときは言いすぎたけど、君に期待しているんだよ」といったフォローができたり、その後、飲みに行けたりもしました。しかしリモートの場合、なかなかそれができません。
言葉以外の情報を受け取りにくくなり、厳しいマネジメントをした後のリカバリーができなくなったというのは変化したことですね。
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