猫用おやつ「ちゅ〜る」はなぜ売れる? 飼い主も“やみつき”にする戦略に迫る:長浜淳之介のトレンドアンテナ(2/5 ページ)
猫のペットフード「CIAO(チャオ)ちゅ〜る」がロングヒット中。ラインアップも増えており、きめ細かいニーズに対応している。開発の背景は?
販売ランキングの上位に食い込む
「ちゅ〜る」の年商、販売数について、同社は公開していない。しかし、ID-POS分析サービス「TRUE DATA」によれば、21年2〜4月の「キャットフード」購入個数ランキング20位以内に、2位「ちゅ〜る まぐろ 14g×4」、11位「ちゅ〜る とりささみ 14g×4」、20位「ちゅ〜る かつお14g×4」がランクインしている。
ベスト5に入っている他のメーカーの商品はいずれも70グラム(食事用)なので、おやつとしてはダントツのナンバーワンになっている。
20年2〜4月の同じ調査では、1位「ちゅ〜る まぐろ 14g×4」、7位「ちゅ〜る とりささみ 14g×4」、20位「ちゅ〜る かつお14g×4」だった。今年は順位を若干下げたものの、安定してよく売れている。
また、日本ネーミング協会の「日本ネーミング大賞2020」で優秀賞を受賞している。
愛猫家の社長が発想
いなばが「ちゅ〜る」を開発する動機となったのは、自ら猫を3匹飼っている稲葉敦央社長が、手を汚さずに直接与えられるおやつができないかと考えたことだ。愛猫家が発想したからこそ、猫好きの心をつかめた。
同社では「ちゅ〜る」に限らず、モニターの猫に試食してもらって、食べっぷりを見ながら商品化している。猫だけでなく、同社の社長、開発・営業の担当者も食べて決定する。
親会社のいなば食品は、「ライトツナ」に代表されるツナ缶や、「とりささみ」のようなササミ缶で著名な会社。キャットフードも、ツナ缶、ササミ缶などといった人間が食べる食品がベースになっているから、人間が食べても問題ない。
実際、YouTubeには、飼い主が猫と一緒に「ちゅ〜る」を食べている動画も多く投稿されている。
「ちゅ〜る まぐろ」の原材料は、マグロ、マグロエキス、タンパク加水分解物、糖類(オリゴ糖など)、植物性油脂、増粘剤(加工でん粉)、ミネラル類、増粘多糖類、調味料(アミノ酸など)、ビタミンE、緑茶エキス、紅麹色素となっている。緑茶消臭成分が入っているので、尿や糞の臭みを和らげてくれる。人間が食べると、食塩が入っていないので頼りない味に感じるかもしれないが、猫的には満足できる水準だ。
同商品の保証成分値は、粗タンパク質7.0%以上、粗脂肪0.2%以上、粗繊維0.1%以下、粗灰分1.5%以下、水分91.1%以下だ。1本当たりで約7カロリーとなっている。水分が9割を占め、低カロリーなのも特徴だ。
猫は基本、なめるのが好きなので、「ちゅ〜る」には猫がなめやすい粘度を持たせている。しかし、中には袋を食いちぎらんばかりに食らいつく猫もいて、CMに登場する上品な猫のようにはいかないケースもある。そういう場合には、面倒でもお皿に盛り付ける必要がある。
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