スーパーの「アピタ」と「ピアゴ」がどんどん“ドンキ化” 一方で住民から不安の声も:交通量の増加やたむろする若者が心配(1/3 ページ)
スーパーの「アピタ」と「ピアゴ」が“ドンキ化”している。運営会社は2022年をめどに、約100店舗を業態転換する方針だ。その一方で、生まれ変わる予定のアピタ岐阜店の周辺住民からは不安の声が出ている。
「早朝の交通量が増えると通学時の危険が高まる」「深夜に営業すると若者などが店舗にたむろするから不安だ」――岐阜市にある総合スーパー「アピタ岐阜店」を“ドンキ化”しようとしたところ、住民からこんな不安の声が出てきた。
2020年2月中旬、アピタ岐阜店はユニーとドン・キホーテのダブルネーム店舗に生まれ変わる。ダブルネーム店舗とは、ドン・キホーテUNYまたはMEGAドン・キホーテUNYのことを意味する。現在の営業時間は午前9時〜午後9時となっているが、業態転換後は早朝や深夜の営業時間が拡大する予定だ。そこで、地元のPTAや自治会などで構成される「加納西まちづくり協議会」が、2663人の署名とともに「深夜と早朝の営業時間拡大をやめてほしい」といった要望をアピタの運営会社に提出したのだ。
朝日新聞は9月14日、「(リニューアル後)営業時間が現在の午前9時〜午後9時から午前8時〜深夜0時に変更になる可能性を示した」「店の周辺は住宅街で、約300メートルの圏内に加納西小学校、陽南中学校、加納高校がある」と報じている。
なぜアピタやピアゴが“ドンキ化”しているのか
そもそも、なぜアピタ岐阜店は新しく生まれ変わることになったのか。
ドン・キホーテなどを運営する、パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH、旧ドンキホーテホールディングス)は、18年6月期に6店舗、19年6月期に10店舗、アピタとピアゴを業態転換した。22年をめどに、約100店舗を業態転換する方針だ。アピタやピアゴを運営するユニーはPPIHの子会社であり、東海地方を中心に172店舗を運営している(8月末時点)。ユニーの関口憲司社長はドンキ出身だ。
現在のところ、業態転換は成功している。PPIHの決算説明資料によると、19年6月期に業態転換した店舗の19年2〜6月における売り上げ、客数、粗利高(粗利益)は、前年同期比(転換前)でそれぞれ223%、168%、207%と伸びている。18年6月に業態転換した6店舗も、同様に好調な業績を維持している。
業態転換の前後で、店舗の売り上げ構成比も大きく変わっている。転換前のピアゴやアピタは、売り上げに占める食料品カテゴリーの割合が約8割。転換後はその割合が約5割にまで低下する一方、日用雑貨・家電・スポーツ/レジャー用品などの比率が4割近くに増加している。転換後の店舗では、「ニューファミリー」「若年層」「男性」のお客が増えているという。
9月24日にリニューアルオープンした「MEGAドン・キホーテUNY武豊店」(旧ピアゴ武豊店、愛知県武豊町)の場合、新たに家電・スマホパーツ売り場を展開したり、機能性アウターウェアなどを扱ったりしている。
ドン・キホーテUNYの売り場面積は4000〜5000平方メートルで、アイテム数は5万〜6万点。MEGAドン・キホーテUNYの売り場面積は5000〜1万3000平方メートルで、アイテム数は7万〜10万点となっている。業態転換にあたっては、営業時間を延長するのが基本路線だ。
このように、PPIHにとってアピタとピアゴの“ドンキ化”は重要な成長戦略として位置付けられているのだ。
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